仏像の種類:如来(にょらい) PR

【仏像の種類:毘盧遮那仏とは】君は奈良の大仏の本当の名前を知っているか?華厳経の真理を表す仏さま

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毘盧遮那仏(びるしゃなぶつ)と読むこの仏さま。読むのも書くのもむずかしくて、「なんかちょっと苦手かも・・・」なんて言わないで。だって、あなたもあなたのお友達も日本人なら大抵の人が知っている、おそらく日本で一番有名な仏像は、この毘盧遮那仏なんですから。

 

毘盧遮那仏の主な役割・働き

日本で一番有名な仏像といえば、おそらく奈良の大仏でしょう。そう、あの奈良の大仏さまこそ毘盧遮那仏なんです。毘盧遮那仏は、盧遮那仏もしくは盧舎那仏とも書くことがあります。

 

奈良の大仏の本当の名前は、東大寺盧舎那仏といいます。これが一般に奈良の大仏として知られる仏像の正式名称です。ちなみに大仏は大きな仏像のこと。「大仏」という名前の仏像は存在せず、みんなちゃんとした名前をもっているんです。

そして、毘盧遮那仏とは、釈迦が説いた教え、つまり仏法そのものが形となって仏像になったのが毘盧遮那仏です。毘盧遮那如来とも呼ばれます。釈迦は悟りを開き真理を知って、それを仏法として人々に伝えました。その真理そのものが毘盧遮那仏です。だから、何かを知っている仏さまが、私たちにそれを教えてくれようとするのと違って、「私自身を知って!」と言ってるのが毘盧遮那仏。概念が神格化されたいわば哲学的な存在で、『華厳経』には万物をあまねく照らす宇宙の根本仏だと説かれています。

 

毘盧遮那仏が住んでいるのは蓮華蔵世界。その中心で、1000の花弁を持つ蓮華の上に坐っています。1000の蓮弁それぞれには、100億の釈迦を中心とした世界があります。さらに、その100億の釈迦それぞれも1000の蓮弁を持つ蓮華の上に坐っている・・・という、合わせ鏡の中を覗き込んだみたいな無限のような世界です。こんな想像を超えた広大な蓮華蔵世界に君臨する仏だからこそ、作られた仏像も破格のスケールが多いです。奈良の大仏をイメージすれば、わかりますね。造像の目的だって「国家安寧」といった具合に、個人ではなく国家レベルのことをドーンとお願いしちゃいます。

 

毘盧遮那仏の見た目・見分け方

壮大な蓮華蔵世界を表現するために、蓮華台座や光背にたくさんの釈迦仏が描かれています。また、肉髻(にっけい)と呼ばれる盛り上がった頭頂部、螺髪(らほつ)と呼ばれる貝殻のように粒状に巻かれたパンチパーマ系の髪の毛が目に入ります。また、右手は人々の恐れを取り除いてくれる施無畏印(せむいいん)、左手は人々の願いを聞き、それを与えるという意味の印相である与願印(よがんいん)を結ぶのが一般的。ただ釈迦如来と区別がつかない場合も多くて、パッと見ただけではどちらの仏像なのか見分けがつかないことも多いと思います。

 

毘盧遮那仏はお寺で出会うことはかなりレアであるため、見た目よりも日本にいる毘盧遮那仏とその寺院を覚えてしまったほうが早いかも?!

 

毘盧遮那仏の成り立ち・大日如来との関係や違い

サンスクリット語名は、ヴァイローチャナ。大乗仏教経典『華厳経』に本尊として登場する仏陀です。宇宙の真理そのものを象徴する仏で、その光は全世界を照らします。

 

毘盧遮那仏の起源であるヴァイローチャナの意味が、あまねく照らす者、光り輝く者ということであれば、よく似た名に「大日」がありますね。日本で大日といえば、密教の本尊である大日如来(だいにちにょらい)。元は一緒なのに、違う仏さまって変じゃないですか? どうしてこうなったかというと、毘盧遮那仏と大日如来が説かれているそれぞれの経典が『華厳経』と『大日経』という2つの異なる経典だからです。

 

毘盧遮那仏は3世紀頃に成立した『華厳経』の仏であり、大日如来は6~7世紀頃に成立した『大日教』の仏さまというわけで、成立のタイミングと顕教と密教の違いがあって、この二つは日本では別のものとして扱われてきたのでした。

 

<参考記事>

大日如来の解説についてはこちらの記事をご確認ください

日本にある毘盧遮那仏がいるお寺

奈良・東大寺金堂(大仏殿)/銅造盧舎那仏坐像【国宝】(台座・袖・足の一部は奈良時代)

 

奈良県奈良市の東大寺大仏殿(金堂)にある本尊がみなさんご存知の奈良の大仏さま。聖武天皇の発願で、745年に制作が開始され、752年に開眼しました。正式名称は盧舎那仏です。学校の修学旅行や見学遠足などで訪れた方も大勢いらっしゃると思います。

メインの大仏さまについては、「見仏入門」で取り上げた記事がありますので、そちらをお読み頂いて、今回はこの大仏さまの坐っている蓮弁に描かれた線刻画について。

 

 

<奈良の大仏さまの詳細についてはこちらの記事をご覧ください>

 

仏像の大きさに圧倒されて、ついつい上ばかりを見上げてしまいがちの大仏鑑賞ですが、実は台座も注目すべきポイントの一つ。大仏が坐っている蓮華座には、大小28の花弁が表わされています。これをよく見てみてください。2度の兵火を受けたにもかかわらず、この台座の蓮弁には奈良時代の菩薩の線刻画がくっきりと残っているのです。

これは絵画資料としてもとても価値のある貴重なもの。どれも印刷したのかと思うほど丁寧で、似たように描かれていますが、すべて一つ一つフリーハンドで作画されました。

これによって、毘盧遮那仏が住む『華厳経』の「蓮華蔵世界」の様子が表わされています。その上の巨大な仏像のスケールと台座に表わされる壮大な世界が綿々と続く様子は、創建当時に生きた人々をどれほど驚かせ、畏れ、憧憬させたことか。大仏さまのそばでよーく台座の蓮弁を見ながら、盧舎那仏の破格の世界感を感じてください。

 

奈良・唐招提寺金堂/盧舎那仏脱活乾漆坐像【国宝】(奈良時代)

 

多くの苦難の末、来日した鑑真和上の私寺として759年に始まった唐招提寺は、現在は奈良市五条町にある南都六宗の一つである律宗の総本山です。

この寺の金堂は国宝になっており、2000年(平成12年)より奈良件教育委員会文化財保存事務所の主導による「金堂平成大修理事業」が始まりました。

創建以来最大規模の大修理で、現代の建築技術の粋を結集した構造補強は無事に終了し、2009年11月には金堂平成大修理落慶法要が営まれました。

その金堂の本尊は、高さ3メートルを超え、光背の高さ5.15mにも及ぶ巨大な盧舎那仏像。奈良時代に盛んにおこなわれた脱活乾漆造りの像で、量感のある、雄大さとやわらかさが表現された見事な仏像です。

右手で親指と中指を曲げて輪を作るようにした与願印と示し、左手で施無畏印を結んでいます。目につくのは、光背。864体ある化仏がびっしりです! 本来は1000体あったと言われます。「千仏光背」と呼ばれるその光背の前に蓮華座に結跏趺坐する毘盧遮那仏は、私たちを広く深ーい蓮華蔵世界へ誘っているようです。

 

福岡・戒壇院/盧舎那仏坐像【重文】(平安時代)

 

奈良の東大寺と並び、朝廷によって奈良時代に建立された「日本三戒壇」の一つです。本堂には盧舎那仏坐像を中心に向かって右に僧形の文殊菩薩、向かって左側には僧形の弥勒菩薩が並ぶ、とても珍しい組み合わせの三尊像です。

 

両手のひらを丸めながら正面に向けている手は説法印と呼ばれる印相です。これは釈迦が弟子たちに仏法を説いた時の姿を表わしており、もともと作例が少ない盧舎那仏像である上に、説法印を結んでいるレアな例です。僧形の文殊・弥勒菩薩と合わせて、正式な僧侶になるための受戒(僧侶としての戒を授ける儀式)が行われる場所・戒壇院ならではの仏像の姿と言えるでしょう。

絶品!らほつまんじゅう

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<書籍紹介>如来のことをもっと知りたくなった時には…

ここでは今回紹介した如来以外にもより深く仏像について学ぶことができる書籍・DVDをご紹介いたします。どれもわかりやすく書かれている初心者~中級者向けの本ですので、お気軽にお読みいただけるかと思います。

如来像のすべて (エイムック)

釈迦如来や薬師如来、弥勒如来など様々な「如来」にスポットを当て、如来をメインに取り上げた本。カラー写真も豊富で初心者の人でも読みやすいように解説してくれています。如来の仏像の入門書としてお勧め。

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仏像のひみつ 山本 勉 (著)

仏像の初心者のための本。小学生向けにかかれた本なので言葉がとってもわかりやすい解説がされています。仏像の入口には最適な一冊といえると思います。

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東海美仏散歩(ぴあ)

東海地方の仏像が詳細でかつわかりやすくまとまっている良書。東海地方限定にはなりますが秘仏スケジュールや仏像とは?などもまとまっているので初心者から少しステップアップされたい方におすすめしたい本です!

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