【仏像の種類:日光菩薩・月光菩薩とは】24時間対応可で充実のサポート体制!薬師如来先生をサポートする看護師的な仏さま!


日光と月光。私たちの生活の中で最も親しみやすく且つとても神聖なイメージのある存在の2つを名前にした菩薩たちの登場です。昔、月光仮面というヒーローがいましたが、これは困っている人を救う月光菩薩をモデルにしたものなのだとか。では元祖の日光菩薩・月光菩薩とはどんな存在だったのでしょうか?

日光菩薩・月光菩薩のはたらき

日光菩薩月光菩薩薬師如来のサポーターである両脇侍です。どちらかが単独で信仰されることはなく、かならずペアを組んで薬師如来を守ります。薬師如来のおられる世界は「東方浄瑠璃世界」と呼ばれ、瑠璃のように美しく、多くの菩薩さまがいらっしゃる素敵な世界。月光菩薩、日光菩薩はこの世界の菩薩さまとして、最も位の高い菩薩として位置付けられるまさに薬師如来の側近というべき存在です。

 

薬師如来についての詳細は下のリンク先をみてみてください。

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三尊としての基本的な立ち位置は、薬師如来の左脇侍(向かって右)が日光菩薩で右脇侍が月光菩薩です。両菩薩は、薬師如来の使命である病苦から救う現世利益の実行はもとより、世の中の不安を鎮めるための正しい教えを守り、アシストするのが役割です。

そのため、日光菩薩は千の光をもって太陽のように世界を広く照らし、あらゆる苦しみの根源とも言える闇をなくしてしまい、悪いものを焼き尽くすパワーを持ちます。月光菩薩は月のような清涼で優しい慈しみの心で煩悩を消し、苦しみを忘れさせるパワーを持っているんですね。

 

昼夜にかかわらず人々を見つめる二つの存在、日光菩薩と月光菩薩。その役割がバランス良く分けられているのと同様に、まるで鏡をみているようにその2つの姿も左右対照的に作られています。日の光と月の光は昼夜を問わない24時間体制でばっちりみなさんをサポートいたしますよ、という頼もしい薬師医療チームのメンバーです。

 

日光菩薩・月光菩薩の成り立ち

日光・月光菩薩が日本で寺院に祀られるようになったのは、飛鳥時代のころから。その後奈良時代にわたって隆盛し、現在に至っても薬師三尊像として広く信仰されています。薬師如来は、真言宗や天台宗の寺院に主に祀られている仏さまで、仏教がインドや中国から伝来してきた頃から疾病やつらい世情に疲れた人々を癒やしてくださる現世利益の仏さまとして大人気の仏さまとなりました。

そしてそれを迎える受け皿として、如来よりもっと身近な仏さまとして日光菩薩、月光菩薩が十二神将という護法神たちと共に現れ、さらに人々の身近に寄り添います。両菩薩は対称につくられた二つで一つの菩薩さま。

病の快癒、延命などの現世利益を求める人々の苦を取り除きながら、太陽と月、右と左、そして天と地といった鏡のような相対関係とそこから感じる世界観を見せてくださるのです。個人個人の小さな意識ではなく、相対する外の世界と繋がり、悟りの世界へと繋がっていくことを私たちに教えてくださる存在として登場し、多くの人々の篤い信仰を受けることになりました。

 

日光菩薩・月光菩薩の真言と梵字、ご利益

 

こちらが日光菩薩を表わす梵字「」です。

日光菩薩の真言は「オン・ソリヤ・ハラバヤ・ソワカ」。これを唱えれば病根が焼かれる、と言われています。

 

そしてこれが月光菩薩を表わす「チャ」という梵字です。

月光菩薩の真言は「オン・センダラ・ハラバヤ・ソワカ」。こちらを唱えれば苦熱が除かれる、と言われます。

 

何か気に病むことがあるとき、薬師如来の真言オン コロコロ センダリ マトウギ ソワカ」とともに三尊の前で唱えてみてはどうでしょう。

日光菩薩 月光菩薩 違い・見分け方

 

月光菩薩は、日光菩薩と共に、薬師如来の脇侍を務める菩薩様です。月光菩薩と日光菩薩は対称に造られ、まるで写し鏡のように似た姿しています。脇侍としての立ち位置が日光菩薩は向かって右、月光菩薩は向かって左と基本的には決まっているため、どちらか見分けられないわけではありませんが、細かく見るとそれ以外にもそれぞれに特有の特徴があるんです。

まずは両菩薩の手に持っている物の違いです。持物も一見よく似ていますが、色や形、図柄に違いがあります。日輪、月輪もしくは半月輪を持つ場合と、蓮華茎上に乗せた日輪、月輪を持つ場合があります。

まるで歌手がマイクを持ってるみたいに見えることも・・・。日輪は金や赤で表現され、月輪は銀や白で表されている場合が多いです。宝冠に日輪や月輪を頂くバージョンもあります。また、よーく見れば月光菩薩の持物には蛙やうさぎが描かれ、日光菩薩の持物には鳥が描かれているのを確認することができる場合もあります。

相対する存在として太陽と月を象徴する両菩薩ですが、この絵柄からも天と地、という対比を見ることが出来るのです。この関係はあの世とこの世の世界観の対比に繋がります。仏師の苦労を想像してみてください!

また、お顔を見ると両菩薩では違った印象を受けることも多々あります。なんとなーく、日光菩薩が女性的、月光菩薩が男性的と感じる場合もあるかもしれません。ほんの少しの表情の違いだったりするのですが、その微妙な差を見つけるのも見仏の楽しみというものです。

日光菩薩・月光菩薩の主な例

 

奈良県・薬師寺/日光菩薩・月光菩薩【国宝】(白鳳時代)

奈良市西ノ京にある薬師寺は、680年に天武天皇の開基(創立者)によって建立されました。「古都奈良の文化財」の一部として世界遺産登録されているこの寺の本尊は、金堂に安置されている国宝・薬師三尊像です。

 

中尊は薬師如来、そしてここに左脇侍(向かって右)として日光菩薩、右脇侍に月光菩薩を配しています。日光菩薩317.3cm、月光菩薩315.3cmと大きくてつやつやの菩薩さまたち。

 

 

左右対称にポーズを取る両菩薩の印を結んだ手の表情、捻った腰や優しい表情のお顔が全体の柔らかなイメージを作っています。美しく明確な衣文や人体の正確な肉付けそのままを仏像にほどこした自然な仕上がりは、中国・初唐の様式の影響を受けながらも日本独自の様式を見せており、7から8世紀の作品の中においても最高傑作の一つとして名高い菩薩さまたちです。

 

注目は、頭部、上半身、下半身がそれぞれ異なった角度を向き、しなやかさを作っている「三曲法」と呼ばれるポーズ。実物を見る機会があれば、ご自身の目で確認してみてください。

 

 

奈良県・東大寺ミュージアム(旧:法華堂)/日光菩薩・月光菩薩【国宝】(天平時代)

 

 

2011年にオープンした東大寺ミュージアム。最新鋭の設備が施されたこの美術館に東大寺の宝物が多く展示されています。

 

その中に国宝の(伝)日光・月光菩薩立像の2体があります。伝日光菩薩が約207cm、伝月光菩薩が約205cmの像高を持ち、いずれも奈良時代に造られたと言われる塑像です。全体の彩色がほとんど落ちてしまい白っぽくなった像ですが、それでも重厚感のある像は見る者に深い感動を与えてくれます。

 

 

さて、なんでこの菩薩さまたちの名前に「伝」とつくのか気になりますか? 実はこの2体には「もしかしたら、梵天・帝釈天像だったんじゃないの?疑惑」があるからなんです。その根拠はいくつかあります。

根拠いろいろ

・2体が薬師如来像ではなく不空羂索観音の脇侍であること(観音像の脇侍として日光・月光菩薩を安置する例は他にありません)

・文献に「日光・月光」と記録があるのは江戸時代になってからのものだということ

・月光菩薩像の襟元に、鎧(よろい)の一部のようなものが見られること

・沓(くつ)を履いていること

 

(あわせて読んでみてください)梵天・帝釈天とは?

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梵天・帝釈天像はそっくりに造られることが多く、帝釈天は鎧(よろい)をつけていることがあるんです。また、「菩薩」は通常沓をはかないものですが、「天」は沓をはきます。

というわけで、この2体の像が梵天・帝釈天である可能性があります。でも、記録には日光・月光菩薩とあるため名称には「伝」がついているというわけです。まあ、この像の名前が何であれ、見事な造像の価値を揺るがすものではありませんけれども。

【書籍紹介】菩薩のことをもっと知りたくなった時には…

ここでは今回紹介した菩薩以外にもより深く仏像について学ぶことができる書籍・DVDをご紹介いたします。どれもわかりやすく書かれている初心者~中級者向けの本ですので、お気軽にお読みいただけるかと思います。

仏像大図鑑 如来・菩薩像のすべて

菩薩像の種類や特徴、もっているものなど、菩薩像とは…をギュッと1冊に凝縮した菩薩のすべてが理解できる教科書。 カラー写真やこの本のために撮りおろしされた写真も多いので、菩薩像のあらたな魅力を発見できるかも?!

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菩薩像のすべて

とにかく写真が豊富、紹介している仏像が豊富という本。日本各地にある代表的な菩薩像を掲載しています。

如来像のすべてや、明王像のすべて、天の仏像のすべてなど仏像界の各ランクごとに専門的に切り込んでいる「◯◯のすべて」シリーズの菩薩像バージョン。これはぜひ全シリーズそろえたいですね。

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十一面観音巡礼(白洲 正子)

鋭い眼力と個性的な感性で日本の美としての仏像の魅力を発見しては文章で表現していった昭和の随筆家・白洲正子さん。

彼女が自ら歩んで出会った十一面観音めぐりのエッセイ。白洲正子さんの美しい文章で、じんわりと日本の土地に根付いた十一面観音像が紹介されています。

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京都仏像めぐり (たびカル)

女性向けの可愛らしい本ですが、京都の旅で見るべき仏像が凝縮されていてとてもわかりやすい内容になっています。旅の邪魔にならない本のサイズも素晴らしいところ。

掲載されている情報も小さなわりにはたくさんつまっています。こちらの本をもって京都の仏像の旅をしてみてはいかがでしょうか。

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