明王とは|仏像の種類や特徴 ~言うこときかないワルい子を熱血指導!~


熱血学年主任の不動明王!

 次に明王とは?という説明をしていきます。明王(みょうおう)とは学校の中で例えると、各学年のリーダーとなる学年主任の先生です。

 

 学年主任の先生は、生徒にちかい存在なので、何かトラブルが起きていないか、生徒たちが安全に過ごせるか、ちゃんと勉強できているかを広い視点で目を光らせ、にらみを効かせています。 

 

 明王も仏教をきらって悪いことをしようとするテキをこらしめ、言うことを聞かない人々に聞く耳をもつよう改心させて正しい教えの道に向かわせるという任務を持つ気迫に満ちあふれた仏さまです。

 

 「仏の顔も三度まで」ということわざがありますが、どんなに愚かな相手であっても仏さまも最初はおだやかに理解をもとめようとします。しかし、相手が何度いっても言うことをきかなかったり、穏やかに話をしている場合ではない、鬼気迫る状況になったときには、心を鬼にして、もしくは必死な表情をして、問題に対処しなければなりません。そのような存在が明王と考えられています。

 

不良のヤンキーを熱血指導で厚生させる、熱い先生のようなイメージですね。

 

明王は追加メンバー募集でやってきた異端児!

 

 よくアイドルグループでメンバーが追加してグループの人数がふえて大きくなるってことがありますが、明王はその追加メンバーにあたる仏さまで、日本の仏像のオリジナルメンバーではない仏さまなんです。

 

じゃあ、どうやって追加されたのか。不動明王がみずから日本にやってきたのかというと、そうではありません。ある人物によって日本に招待されました。それは真言宗(しんごんしゅう)という、仏教の宗派をつくった空海(くうかい)という人。空海さんは中国にわたって密教(みっきょう)という新しい仏教の考えを日本に輸入(ゆにゅう)してきました。その密教のなかの主要メンバーのひとりがこの明王だったというわけなんです。空海さんはその後、密教を日本でハッテンさせて真言宗をつくりました。

 

ちなみに密教という秘密の教えの中での中心的な仏さまは大日如来(だいにちにょらい)という仏さま。明王はこの大日如来の化身として考えられています。

 

空海さんのストーリーはこれだけでは語れないため、また別の項目でご紹介させていただきますね。

 

ホトケさまのファッションチェック!(明王編)

 

 頭は弁髪(べんぱつ)と呼ばれる個性的なヘアスタイルをしています。長い髪の毛を束ねて垂らしています。ほかにも短い髪の毛を炎のように逆立てていますが、明らかに怒っているぞ!と威嚇しているようなヘアスタイルをしています。

 

 顔の表情は基本的には怒りまくっている表情。これを憤怒(ふんぬ)といいます。左目は閉じかけて、右目はギョロリと目を向いているか両目をかっと見開いているかのどちらかが多いです。明王と目が合うとぎょっとしてしまいます。

 

さらに不動明王のなかまには、左目で天、右目で地を見ている明王もいまして、この目を 「天地眼(てんちがん)」と呼ばれています。人間からするとありえない目の動きをするのでこわさがさらに増します。

 

口もとをみてみると牙がのぞいていて、鬼の様な形相です。

 

 着ているものは大体 菩薩と同じですが 菩薩が肩にかけている天衣みたいなヒラヒラしたものはつけていません。

 

 明王のせなかには炎の形の光背(こうはい)が多くつけられています。中でも不動明王の光背は 炎の中に伝説上の火の鳥(フェニックス)を表した独特なものをしているものがあります。

 

密教戦隊 ミョウオウジャー!!

 

 明王はよく5体のグループを組みます。不動明王(ふどうみょうおう)、軍荼利明王(ぐんだりみょうおう)、降三世明王(こうさんぜみょうおう)、金剛夜叉明王(こんごうやしゃみょうおう)、大威徳明王(だいいとくみょうおう)の明王グループの5人です。

 

 どの明王も憤怒の表情にみちていて、1人ですら、とても迫力のある不動明王ですが、この5人がそろった光景はさらに迫力満点です!なぜ5人グループを作るかというと、これは化身である大日如来が5つの方法で人々を救うとされていて、この5人にそれぞれ一つづつ役割が託されているからです。

明王はガングロ?!

 

お寺にまつられている明王さまの中には、時々日焼けサロンにいってきたかのような明王さまに出会うことがあります。これは護摩(ごま)と呼ばれる密教どくとくの「おまじない」によるものです。

 

密教は「おまじない」によって人々を悩みから救うことを大事にしています。その護摩(ごま)というおまじないは、護摩木(ごまぎ)とよばれる木に火をつけ、たき火をします。そしてお米や漢方、お香、油などを、お坊さんがお経をとなえながらその火のなかにつぎつぎと入れて、悩んでいる人の悩みを取り除いてあげるおまじないです。

 

この護摩というおまじないは、不動明王に対しておねがいすることが多く、たき火の前には不動明王の仏像をまつります。そのため不動明王がまっ黒になってしまうのです。

 

このガングロの不動明王は、体をはって、たくさんのお願いを聞いてあげた、という証(あかし)なんですね!

山手線の駅には不動明王がゆらいの地名が2つも!

 

東京を走る山手線の駅の中のみなさんがよーく聞いたことのある地名にこの明王さまから名付けられた名前があるのを知っていますか?2つあります。

 

それは「目黒(めぐろ)」と「目白(めじろ)」です。

 

江戸時代に東西南北とその中心の5つの方角を白・赤・黒・青・黄の5色の色で表し、その方角それぞれにある不動明王に江戸の平和をお願いするということが、江戸幕府によって決められます。

それによって各所の不動明王に目白、目赤、目黒、目青、目黄と色分けされ名付けられました。このうち「目白」と「目黒」が今も地名として名残りを残しているというわけなんです。

 

 この五色の不動明王は現在、場所が変わっているお寺や、増えたお寺もありますが、いまも東京を中心に残っているので、気軽にお寺めぐりするにはちょうどいいコースです。

 

※不動明王の仏像自体を拝観することが、できるお寺とできないお寺があります。詳しくは事前にお寺までご確認ください。

 

大日如来も探してみよう

不動明王がまつられているお寺では、不動明王の化身である大日如来もどこかに祀られているケースがあります。「目黒不動」の名前で親しまれている東京目黒区にある瀧泉寺(りゅうせんじ)では、本堂は目黒不動の名前のとおり不動明王がまつられていますが、本堂を一度出てぐるりと裏にまわりましょう。

そこには不動明王の化身である大日如来が、不動明王の真裏に祀られています。目黒不動にお参りすることがあれば、ぜひ本堂の裏側を訪問してみましょう!