瞼【滋賀県草津市宝光寺/薬師如来立像・聖観音立像】


 琵琶湖の南側に位置する滋賀県草津市北大萱。この宝光寺はここから約1km 離れた三面六臂観音立像が祀られる、吉田家、白井家の2つの家が管理する橘堂と同時に建立されたといわれるお寺。宝光寺の本尊の薬師如来が17年に一度の開帳をこの度迎えた。橘堂は去年の秋に仏像リンクのオフ会を介して訪問しているので、1年待たずして再度訪問することになった。

 

大萱神社の前にある宝光寺は675年天武天皇の勅願によって、僧定恵が創建したことと伝えられている。創建当時は法相華厳宗道場として建立されたくさんのお堂や仏像が整備されたと考えられている。

お盆の帰省に合わせて友人達と訪問したのだが、訪問するまえは手もと資料の写真はボヤけており、正直そこまで期待はしていなかった。しかし本堂の中央の大きな厨子の中に立つ、薬師如来が目の前に現れると、事前の予想はいい意味で裏切られることになった。

 

本堂の中央に祀られている本尊・薬師如来像は彩色がなく、素地で仕上げられた像高164cm の堂々とした薬師如来像。放射光の光背の半分より下に四線だけ光が放たれている光背も珍しい。左手を下に垂らして、薬壷を持ち、右手は手のひらを前にして直立している。まぶたや下あごが大きく作られ、彫眼が鋭く、螺髪は小ぶりに彫られ 全体に緊張感に溢れ、拝する者に不思議な威圧感を覚えさせる様な独特の雰囲気を持つ仏像だった。

 

 

本堂の左手側には観音堂が祀られ、観音堂の中央には護摩壇を前にし、これも本堂の薬師如来と同様に、等身大を上回る 堂々とした聖観音立像である。元来女性的な雰囲気を表現しやすい聖観音であるが、本像は男性的な力強さや量感を持ち合わせており、愛媛県にある十輪寺・庄薬師堂の菩薩形立像や、栃木県宇都宮市西刑部町観音堂の聖観音の雰囲気を思わせた。

 

愛媛・庄薬師堂 菩薩形立像

栃木・大関観音堂 聖観音立像

おそらく 比叡山延暦寺の影響を受けた薬師如来・聖観音なんだろう 神秘的な魅力に引き込まれ いつまでもその場所を離れたくないとさえ思うようになった。また次回の開帳もぜひ訪ねたい。