【見仏入門】No.28 山梨・大善寺の仏像・見どころ/秘仏薬師如来如来、日光菩薩月光菩薩、十二神将、ワインなど


 大善寺(だいぜんじ)甲斐国(山梨県)では最も古いお寺ともいわれる関東屈指の古刹です。甲斐武田氏が興る前からある寺で、室町時代前期にはこの地の豪族三枝(さえぐさ)氏の氏寺として栄えました。

 

噂によるとこちらの大善寺には果物を持った仏像がいるそうです…!果物ってどんな果物?

大善寺の仏像、歴史について見ていきましょう。

 

大善寺へのアクセス

 

 大善寺(だいぜんじ)はJR中央本線の勝沼ぶどう郷駅からタクシーで南に5分くらいでいけます。歩いても30分ほどです。また駅からワインコース2というルートのバスに乗れば10分ほどで到着しますが、1日数本しかありませんので時間が合わなければタクシーなどが便利でしょう。

この勝沼ぶどう郷駅は1993年に勝沼駅から名勝を替えたもので、甲州ブドウの産地であるために名物を駅名に加えた駅名の先駆けとなった駅でもあります。

また平野部分よりかなり高いところを列車が通るため、ホームは街のかなり高い場所にあります。また駅舎より列車のホームは上にあります。

 勝沼ぶどう郷駅の線路沿いの旧ホーム跡地には「甚六桜」と名付けられた約600本の桜の木が植えられており、春には列車と桜の花のコラボレーションが撮れるとスポットとして撮り鉄マニアなどに人気の場所となっています。

 

大善寺の入り口に楼門形式(2階建て)の立派な仁王門(1704年建立)があります。そこから石段を上がった先に本堂である薬師堂が建っています。なかなか堂々とした建物で国宝に指定されています。

 

また、駅の周辺にはぶどう畑に、数多くのワイナリーもありますので、帰りにでも立ち寄られたら良いと思います。

 

 

大善寺のワイン

拝観時に窓口にて300円をお納めいただくことで、中庭を見ながらワインをお楽しみいただけます。

ワインのお味は、甲州とベリーAの2種類。寺内で貯蔵された新鮮なぶどうを使用しており、安心してお召し上がりいただけます。どちらものどごし爽やかな味わいで飲みやすく、その日の気分に合わせて味を決めるのもお勧めです。

 

大善寺のお祭り

大蛇を形どる藤の根を刀で切り落とし、それを参拝者らが奪い合う勇壮なお祭りで、大善寺藤切り祭りと呼ばれる。国の選択無形文化財に指定されている。大善寺は、行基の創建として伝えられる古刹で、ぶどう発祥の地。本尊の薬師如来(重要文化財)を安置している薬師堂は、国宝に指定。

 

大善寺の歴史

 

(国宝の本堂〈薬師堂〉:室町時代に建てられた薬師堂が1279年に焼損し、その後再建されたもの。内覧は有料)

 

 大善寺の創建については正確にはわかっていません。しかし寺伝では奈良時代初期の718年に行基菩薩が日川渓谷で修行した時に、夢の中に薬を持った薬師如来が現われ、修業を終えた行基菩薩がその薬師如来像を建立してこれを祀り、これを大善寺の起源とするとしています。この薬師如来が持っていたとされる薬が葡萄だったのです

 

しかし、この寺は甲斐国の古代豪族であった三枝(さえぐさ)氏の氏寺であり、971年に三枝氏の始祖といわれる「三枝守国(さえぐさもりくに)」がこの寺に薬師堂を建てて再建したとも伝わっています。この薬師堂(本堂)はその後1279年に焼失し、現在の薬師堂はその後1286年から1306年頃まで長い年月をかけて再建されたもので、国宝に指定されています。

また、本尊である薬師如来像などの年代から、寺の創建も平安時代前期と考えられます。

 

寺の境内にはこの三枝守国の墓として大きな五輪塔があります。

 

この三枝守国は、古代甲斐国(現在の山梨県)の豪族であった三枝(さいぐさ、さえぐさ)氏の祖といわれる人物で、日本書紀に登場する「三枝連(さいぐさのむらじ)」の流れをくむ人物とされています。

また九州の筑紫に押し寄せた夷敵を京都から九州に派遣された守国が撃退する活躍をして播磨守などに任じられていたのですが、京都の宮中での失態により(または嘘の換言でだまされて)甲斐国に左遷されてきたなどとの話も伝わっています。

甲斐国にやってきた三枝氏はその後、この地の豪族として大きな勢力を持っていましたが、熊野神社の八代荘を襲撃して社殿などを破壊した罪で没落していったようです。

その後、甲斐守に任じられた甲斐源氏の武田氏が勢力を伸ばすと、この武田氏の家臣となり戦国末期に武田氏が滅びるまで命運を共にしたようです。

本堂(薬師堂)は山梨県下最古の建築であり、建立時期が明らかな中世密教仏堂の典型として、また大仏様の影響がみられる建築の東限に位置するものとして貴重なもといわれています。

また、境内には理慶尼(りけいに:勝沼松葉)という尼さんの墓があります。

理慶尼は甲斐武田家17代当主の武田信縄(のぶつな)の子である勝沼信友(勝沼城主)の娘で、武田信玄(晴信)の従妹(いとこ)になります。理慶尼は武田家最後の滅亡に至る経緯を見てきており、これを記した「理慶尼記」は武田滅亡記ともいわれる貴重な資料で、現在ここ大善寺に保管されています。

武田氏滅亡の際に最後まで当主(武田勝頼)に従った家臣たちの子供たちをその後、徳川家康が重用したことは良く知られています。また武田勝頼が最後にこの寺に1泊(1582年3月3日)し、ここから天目山を目指して出発し途中3月11日に勝頼をはじめ家臣たちは自決しています。

 

またこれが甲州葡萄の始まりであるとの伝承があります。

 

 

大善寺の仏像の詳細

薬師如来及び両脇侍像【重文】(平安初期 サクラ材の一木造)〈像高:薬師如来像 86.7cm 日光菩薩像 102.6cm 月光菩薩像 101.8cm〉

 

薬師三尊像は秘仏として厨子の中に納められ、五年に一度開帳されます。

中尊の薬師如来像は顔から体までサクラの一木造りで内繰りはされていません。ただ手先は別材だったようで、右手については1930年に修理されています。ただ指の長さや、垂らした手の形は他の仏像とは違った造形がはいっているように感じます。一方左手は古くからの言い伝えに残されてきた故事に合わせて、平成になってから葡萄を持つ姿にしています。

 

どっしりと肉付きの良い力強い体躯に少し大き目の頭部がのっていますが、しもぶくれの頬が全体に安定感を与えています。目鼻などは少し大振りですが、穏やかな表情が印象的です。

 

衣文の線もしっかり彫られていて、手を除いては後補部分も少なく平安前期の像として全体にまとまった像といえるでしょう。

脇侍の日光菩薩像月光菩薩像は、共に均整のとれた体つきで、腰のくびれから下の部分が大きく強調されており女性らしさを感じさせます。中尊像に比べると顔は小作りで、眉は大きく弧を描いており、切れ長の細い目をし、小さな口をしています。全体的に優しいお顔の像で、平安前期の像として大変魅力的な像と言えます。

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十二神将立像【重文】(鎌倉時代 1227~1228年 奈良慶派の大仏師
蓮慶(れんけい)の作、一部は他の作者もありそうだが不明 ヒノキ材の一木造及び寄木造 玉眼)〈像高145.9~138.2cm〉

 薬師三尊像を安置する厨子の両脇に薬師如来を守護するために安置される十二神将像です。

皮革の甲冑に身につけた勇ましい武将の姿で、鋭い形相をして立っています。

各像はそれぞれ、さまざまな武器を持って、表情もそれぞれ異なります。

この像は鎌倉時代の作ですが、十二神将像としての動きはそれほど大きくはありません。

 

この大善寺十二神将像は甲斐国における慶派仏師の活動を示す資料として注目されています。

 

日光・月光菩薩立像【重文】(鎌倉時代 1227年 蓮慶作 ヒノキ材 寄木造 漆箔 玉眼)〈像高は日光菩薩が248cm、月光菩薩が247cm〉

    日光菩薩             月光菩薩

 

これらの像は、厨子両脇の須弥壇上の国の重要文化財「十二神将立像」の前に安置されており、十二神将像と同じく、鎌倉時代の仏師蓮慶により製作されたといわれています。

 本尊の薬師如来坐像には像高1mほどの日光、月光菩薩が別に祀られています。

このため、こちらの2.5mもある大きな日光・月光菩薩像は、1270年にこの寺の本堂が焼失した時に共に焼失したといわれている「新仏丈六(丈六薬師)」の脇侍であったものと考えられます。

その他、県指定文化財に山岳信仰の祖である「役行者倚像 」(鎌倉時代)があります。

 

以上、大善寺の歴史や仏像のご紹介でした。

ある満願の日、手に葡萄を持った薬師如来行基の目の前に現れました。そのとき伝えられたぶどうが現在の甲州葡萄の起源となっています。是非、四季折々の風情を感じながら、歴史に触れてみて下さい。

 

大善寺の御朱印

 

大善寺の拝観料金、時間、宗派、電話など

正式名称

柏尾山 大善寺

宗派

真言宗智山派

住所

〒409-1316 山梨県甲州市勝沼町勝沼3559

電話

0553-44-0027

拝観時間・料金

受付時間:9:00~16:00(4月~11月)、9:00~15:30(12月~3月)
参拝時間:9:00~16:30(4月~11月)、9:00~16:00(12月~3月)
※行事等の都合により拝観できない日がございますので事前にご確認ください。

大人1名あたり500円(1名~10名まで)、1名あたり400円(11名~19名まで)、
20名以上の団体 1名あたり300円、小・中・高校生1名あたり300円、20名以上の団体 1名あたり200円

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