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【仏像の種類:毘沙門天とは】四天王の多聞天がソロデビュー!大人気で七福神へも加入!毘沙門天のご利益・梵字、真言

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シンプルに言いますと、四天王チームのリーダー、多聞天がソロデビューしたカタチが今回ご紹介する毘沙門天(びしゃもんてん)です。4人組のレンジャー戦隊はレッドを中心として回っていますが、そのレッドが一人でもワルイヤツラと戦うように、毘沙門天は独尊としても信仰されるきわめて多忙な仏教界のヒーローです。

 

毘沙門天の主な働き

毘沙門天は、持国天、増長天、広目天と一緒に四天王を務め、仏教における天部の仏神という位置づけです。四天王では多聞天として表わされ、日本だけでなく中央アジア、中国などでも独尊として信仰の対象となっています。多聞天が持っていた北の方角のガードマンとしての役目をマックスにした武神として、夜叉と羅刹を従えて人気者となりました。

 

機動隊のイラスト

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密教においては敵を成敗する武神となったので、平安時代の征夷大将軍・坂上田村麻呂(さかのうえのたむらまろ)や戦国武将の上杉謙信(うえすぎけんしん)など、武将たちにはアイドル化され、戦勝祈願の対象として信仰されました。

坂上田村麻呂

また、毘沙門天はそのルーツであるインドの神が財宝神だったので、七福神のメンバーにも抜擢されています。戦勝と財宝という、いつの時代も望まれていた現世利益を司る現実的な信仰の対象でした。

 

毘沙門天は、吉祥天と善膩師童子(ぜんにしどうじ)を従えた三尊像の中尊として祀られる場合、また吉祥天とペアになって釈迦如来の脇を護ることもあります。四天王、七福神、吉祥天と善膩師童子のユニット、吉祥天とペアになる釈迦如来ユニット、と毘沙門天は引っ張りだこの人気者なんです。

毘沙門天の家族構成

毘沙門天が吉祥天や善膩師童子という仏神たちと行動を共にするかには理由があります。実は、毘沙門天はもう既婚で子持ちだったのです・・・。吉祥天は毘沙門天の奥さんと言われ(妹とされる場合もあります)、その夫婦の間には5人の子供がおり、善膩師童子(ぜんにしどうじ)はそのうちの一人とされています。財福や戦勝など現世利益のため忙しく働く毘沙門天。人間たちのお願いごとを聞くために、家族ぐるみで身を粉にして働いているのです。

 

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毘沙門天の成り立ち

インド神話の財宝神クベーラが毘沙門天の前身です。戦闘的なイメージはその頃にはありませんでした。ところが、中央アジアを経て中国に伝わる過程で武神として信仰されるようになり、四天王の一尊として武神・守護神となりました。ヴァイシュラヴァナ(神の息子)という称号を持っており、それを中国漢字にされたのが「毘沙門」です。その意味は、「あまねく聞く/よく聞く者」という意味になるので「多聞天(たもんてん)」とも訳されたわけです。そのような経緯から日本においては、四天王の一尊の場合は「多聞天」、独尊像の場合は「毘沙門天」と呼びます。

財宝神クベーラ像

さて、平安時代の日本では京の鞍馬は交通の要衝で、市が栄えていました。商売が盛んなこの地域では、鞍馬寺の毘沙門天が本来の神格である財福の神であるという一面が強調さるようになりました。

庶民に広がる信仰は、9世紀頃からは無病息災の神の役割もプラスされるようになります。恵比寿神というのは甲胄を付けた神でしたが、毘沙門天が似ていることもあり、平安末期には恵比寿神の本地仏とも考えられるようになりました。毘沙門天は晴れて七福神チームのメンバーとしても加入。日本独自の信仰を集めるようになりました。

 

毘沙門天の真言と梵字

この文字が毘沙門天(多聞天)を表わす種字です。

バイ/ベイ」と読みます。

真言は「オン・ベイシラ・マンダヤ・ソワカ」で、財宝と福徳を授け、戦いを守護するご利益があることから、戦勝祈願、鎮護国家、財宝福徳の神として祀られます。

毘沙門天真言

ナルマクサマンダ ボダナン ベイシュラマンダヤ ソワカ

金剛なる諸尊、毘沙門天王に帰依し奉るスヴァーハー

毘沙門天のご利益アイテム

毘沙門天の見た目の特徴、見分け方

 

密教における仏を表わす象徴物のこと三昧耶形(さんやまぎょう/さやまぎょう)と言いますが、毘沙門天については甲胄を着て、左手に宝塔、右手に宝棒・戟という仏敵を打ち据える棍棒を持つという以外にははっきりとした三昧耶形はありません。日本では一般的に革製の甲冑を身につけるという中国の唐の時代の武将風の姿で表現されることが多いです。沓をはいた足で邪鬼を踏みつけるようにしてそれらの上にたっています。

兜跋毘沙門天

さらに、毘沙門天にはもう一つの姿があります。地天女(ちてんにょ)という女神の両手に支えられて立ち、二鬼を従えるお姿。諸説ありますが、兜跋(とばつ)とはシルクロードのトルファンという名の国のことで、この国が敵に襲われたときに、毘沙門天が地天女と二鬼に支えられながら地から現れ、トルファンを救ったという伝説にもとづいてこのような姿になったのだとも言われています。このバージョンでは、兜跋毘沙門天(とばつびしゃもんてん)と呼ばれる異形となります。この場合の服装は、武装していますがその服装がシルクロードの西域をルーツとして感じさせる、長いマントのような鎧をつけた姿となります。

 

毘沙門天の主な例

静岡・願成就院/毘沙門天立像【国宝】(鎌倉時代)〈運慶作〉

静岡県伊豆の国市にある高野山真言宗寺院、願成就院は北条氏の氏寺として創建された寺と言われています。ここに東国の若武者風の毘沙門天があります。玉眼の入った目がまるで生きている人のように眼力があり、鎧を着た下には引き締まった筋肉までも感じられるほどの若々しいスタイル。鎌倉時代の彫刻の特徴である写実性や力強い作風と、胎内から発見された銘札によって運慶30代の頃に造られた真作であることにまちがいありません。

さすがは運慶、力強さが溢れる像です。

願成就院モデルの仏像!

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京都・鞍馬寺/毘沙門天三尊像(毘沙門天立像・吉祥天女立像・善膩師童子立像)【国宝】(平安時代)

 

京都市左京区にある鞍馬弘教総本山・鞍馬寺。源義経が牛若丸と呼ばれた頃に修行をした地として有名です。そして、この寺は毘沙門天で知られる寺でもあります。

 

こちらの霊宝殿には二つの毘沙門天像があります。国宝・毘沙門天立像は脇侍に奥さんの吉祥天立像と息子の善膩師童子(ぜんにしどうじ)立像と一緒の家族団らん像・・・ではありませんが、3人揃って祀られています。ここの毘沙門天は他では見られないポーズを取っています。

少し体を曲げて立つ姿には安定感があり、眉間にしわをよせるいかつい表情の毘沙門天は左手をかざして何かを見据えようとしているようです。そう、京の北から平安京を俯瞰して守護しているのです。毘沙門天は多聞天でもあり、北を護るガードマンですからね!

 

実は、この毘沙門天は1126年の鞍馬焼亡の際に補修をされたものだそうです。戟を持っていたはずの左手が額に手をあてるようになり、本来腰に手を当てていた右手が戟を持つことになったのだとか。いずれにせよ、補修後の像容には違和感はなく、素敵で頼りになりそうな毘沙門天さまです。傍らの吉祥天は優しく女神らしく佇み上品で、善膩師童子は可愛らしい少年像です。

京都・鞍馬寺/兜跋毘沙門天立像【重文】(平安時代)

鞍馬寺の霊宝館にはもう一体の毘沙門天、兜跋毘沙門天が安置されています。この像はもと平安京の入り口の羅城門上に安置されていたという伝承も残っている像。右手には宝棒と左手には宝塔を持ち、シルクロードの国から出現した守護神らしく、胴部分が少し細く絞られたような西域風の甲胄を身に付け、宝冠をかぶっています。足元には兜跋毘沙門天をなんと手のひらで平然と支える地天女とその傍らには尼藍婆(にらんば)・毘藍婆(びらんば)と呼ばれる二鬼が一緒に屈むようにして寄り添っています。

実はこの鞍馬寺には他にも毘沙門天像が祀られており、それらには身分が記されていない人々の名が寄進者として残されていることから、多くの庶民に慕われていた毘沙門天の信仰の中心となっていた同寺の働きがわかります。

福岡・観世音寺/兜跋毘沙門天立像【重文】(平安時代)

福岡県太宰府市にある観世音寺天智天皇開基の九州を代表する古寺です。九州随一の仏像彫刻が集まったこの寺院に兜跋毘沙門天が安置されています。

足を曲げ、腰を少し捻ったような兜跋毘沙門天は左手に宝塔を掲げ、右手に宝棒を持った動きを感じさせる像。そして足元には地天女がやはり兜跋毘沙門天を手で持ち上げるように支えていますが、そのお顔は微笑みさえ浮かべているようで、全く気負った様子がないところがさすがです。また、その足元に隠れるようにしてなんとなく可愛げな尼藍婆・毘藍婆も。

観世音寺の仏像の中でも最も古い像だということで、足元の地天女から像頭までがくすのきの一木彫りとなっています。

【書籍紹介】天部の仏像のことをもっと知りたくなった時には…

ここでは今回紹介した天部の仏像以外にもより深く仏像について学ぶことができる書籍・DVDをご紹介いたします。ただどれもわかりやすく書かれている初心者~中級者向けの本ですので、お気軽にお読みいただけるかと思います。

天の仏像のすべて (エイムック)

天部の仏像に特化した書籍というのは、現在普通に販売されているなかでは、ほぼこの1冊くらいしか見当たりません。

如来像のすべて、明王像のすべてなど◯◯のすべてシリーズの天部バージョン。

天の仏像にしぼってカラフルな仏像の写真がたくさん掲載されていて迫力満点!
勉強するだけでなく、写真集のごとく眺めるのもオツな風情。
やはり全巻そろえたいですね。

[関連リンク]◯◯の仏像のすべてシリーズ

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見仏記ガイドブック

ご存知、いとうせいこうさん&みうらじゅんさんの見仏記コンビ。

これまでに出た見仏記を再編集し、ガイドに仕上げた総括的な本です。

見仏記の楽しい内容を閉じ込め、より旅のガイドブックとして使いやすくなりました。
みなさんの見仏のおともにぜひ!

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仏像の見方ハンドブック-仏像の種類と役割、見分け方、時代別の特徴がわかる

天のランクに属する仏像の種類はほんとうにさまざまで最初のころは
仏像に出会ってもなかなかなんの仏像なのか判別がむずかしいところ。

こちらはポケットサイズの仏像本。
私は友人からもらったこの本と上で紹介した見仏記をもって
仏像旅をするようになったのが仏像好きになったきっかけです。

この本をポケットに入れてお堂の中に入っては
「この仏像は忍者のポーズをしてるから大日如来だ!」とか思いながら
仏像の名前を当てたり、見分け方を勉強するようにしていました。

ポケットにしのばせて、これを持っていれば、いつ仏像がやって来ても大丈夫!

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奈良 仏像めぐり (たびカル)

たびかるさんの仏像シリーズの奈良版です。
天の仏像が多い東大寺や興福寺などもバッチリカバーされています!

旅の雑誌らしく仏像を紹介するだけでなく拝観方法や拝観可能時間などもまとめられていて
女性でも親しみやすくポップでかわいい雰囲気。

たびカルさんは京都版も出ているので
この奈良の仏像編とあわせていつでも旅に出かけられるよう備えておくと
重宝すると思います!

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