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【3分でわかる弁財天とは?】ああっ幸福の弁天さまっ!のご利益や真言

弁財天・宇賀神
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「天は二物を与えず」、と言いますが、天には二物以上与えるみたいで。天部メンバーの女性アイドル弁才天・弁財天(べんざいてん)は、美人の天女というだけでなく、農業、音楽から始まって学問・芸術・財福・智慧・延寿その上弁舌も立つうえに、梵天の妃というリア充ぶり。

嫉妬するにはスゴすぎて、私たちはあこがれながら、ありがたく頼るしかありません。ああ、七福神メンバーの紅一点、弁才天の登場です!

弁財天の主な働き

弁才天(べんざいてん)は、仏教の守護神である天部の1尊。古代インドに流れていたという聖なる川、サラスヴァティーを神格化した水と豊穣の女神が弁才天です。ヒンドゥー教ではブラフマー(梵天)の妃とされています。仏教では音楽,弁舌,財富,知恵,延寿を司る女神です。眷属(けんぞく) には善財童子を加えた十六童子があります。
図録より

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日本では仏法を守護する天部メンバーの一員として敵を滅ぼす役割をもちながらも、七福神の1つに数えられ、福徳や財宝を授ける女神として信仰されています。

 

 

経典を忠実に翻訳した漢字表記では本来「弁才天」ですが、日本では後に財宝神としての性格が加えられたときに「才」が「財」の音に通じることから「弁財天」と表記するようにもなりました。弁天(べんてん)とも呼ばれます。

水に由来する女神でしたから、水に関わる場所に弁才天が多く祀られています。皆さんがお住まいのエリアに「弁天○○」などと思い当たる地名があれば、それは海や湖や川などの水に関係している場所と思われます。

 

そんな弁財天の特徴をみていきましょう~

 

弁財天の見た目の特徴

『金光明最勝王経』という経典によると,弁才天の容貌は、頭上に白蛇をのせ,鳥居をつけた宝冠をかぶった八臂の女神。持物は弓,箭(せん/矢),宝剣,羂索(けんさく/衆生を救う縄),斧,独鈷(とっこ/杵の形をした武器),法輪,羂索
(けんじゃく) です。つまり、戦う女神でした。

 

密教系の像では琵琶を持った姿で2本の腕で琵琶を奏でる像が多くなります。琵琶を持つ場合は武器を手にしません。

頭上には蛇が住んでる?!宇賀神とは

頭上に蛇を載いていた弁財天ですが、中世以降、弁才天は宇賀神(うがじん)という出自不明の蛇神と習合しました。宇賀弁才天もしくは宇賀神将・宇賀神王とも呼ばれ、その像の特徴が以下です。

・身体が蛇で頭がおじいさんという翁面蛇体の宇賀神をのせる姿をしている

・元来の弁財天同様8臂像が多い

・武器以外に宝珠と鍵を持って福徳神、財宝神の性格が加わる

・眷属は角髪(みずら)という髪型の平安風童子姿の十五童子もしくは十六童子がつく

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実は弁財天と宇賀神との関連はインド・中国の経典には見られません。日本で作られた宇賀弁才天の偽経だけが、これらの弁才天の像容に関する記述をしています。

人気スポット鎌倉・銭洗弁財天宇賀福神社

鎌倉の観光名所で銭洗弁財天宇賀福神社があります。鎌倉駅から徒歩20分とアクセスは決してよくないのですが、多くの観光客で賑わいます。なぜかと言うと洞窟の中でお金を洗うと、そのお金が何倍にもなると考えられています。

もともとは源頼朝が夢の中で宇賀神から「この地に湧き出す水で神仏を供養すれば、天下泰平の世が訪れる」とお告げを受けてこの神社を立てました。

注意すべきは、洗ったお金は使わないということです。使わないといってもまったく使わないというワケではなくここぞ!という時に使うといいことが起こると考えられています。

弁財天の成り立ち

仏教にはヒンドゥー教やバラモン教に登場する神々が、釈迦が始めた原始仏教から発展する過程で取り入れられたという歴史があります。毘沙門天、梵天、帝釈天など天部に多く見られる傾向で、弁財天も同様です。

インドで最も尊崇された女神の弁財天は川の神。学問や音楽をはじめとする芸術の神としても崇拝され、仏教に吸収されて天部の一員となりました。

日本での信仰は、奈良時代から。朝鮮半島から仏教が伝来した飛鳥時代から少し遅れて人々に浸透していきました。

日本の仏像

日本で8世紀につくられた弁才天像は、天女形ながら武器を手にする八臂像で、仏法を守る役割を持った戦う女神でした。平安時代には琵琶を抱える二臂像の姿が伝えられ、やがて神仏習合で神道にも取り込まれます。吉祥天など他の神の特徴を吸収しつつ、インドや中国とは微妙に違う日本独自の変容を遂げました。その後の弁才天には日本古来の食物神の宇賀神と結びつき、蛇身と老人の顔を持つ宇賀神を頭上に頂く像も出てきます。

また日本各地の水神や、記紀神話の代表的な海上神の市杵嶋姫命(宗像三女神)と神仏習合して、泉、島、港湾の入り口などに、弁才天を本尊とする弁天社や弁天堂として数多く祀られました。竹生島、江ノ島、厳島の日本三弁天はその例です。

さらに弁才天は七福神にも迎え入れられ、「弁財天」と文字が変わるまでに変貌。仏法の守護神から次々と変貌していった弁才天ですが、「弁天さま」としてこのように日本独自の信仰の形で今に伝わります。

弁財天の真言と梵字、ご利益

弁財天の真言と梵字、ご利益

この文字が弁才天を表わす種字です。「」と読みます。

真言は「オン・ソラソバテイエイ・ソワカ」。

弁才天としてのルーツに関連する以下のようなご利益があるとされています。

 

弁財天のご利益はこちら

 

弁財天のご利益

・学問・芸術

川の神として、川が流れるような音楽、芸術、弁才、そして学力・記憶力向上

・福徳賦与

七福神の一員として豊穣や繁栄など、金運アップ

・勝負事

仏教の守護神・戦闘神として

弁財天の仏像の主な作例

神奈川・鎌倉国宝館/弁財天坐像【重文】(鎌倉時代)

鎌倉の鶴岡八幡宮にある鎌倉国宝館。ここに1266年に舞楽師中原光氏が舞楽院に奉納した弁財天があります。髪を高く結い、裸体に布製の着物を着て横座りした姿の弁天さまです。琵琶を弾いているようなポーズになっていますが、紛失したのか現在琵琶はありません。

 

この像は、鎌倉時代の特徴的な裸形彫刻であり、「裸弁財天」と呼ばれています。鎌倉時代には、裸形像を造って新しい衣に着せ替え、生きている仏のように拝むという信仰が各地で見られたのです。彫刻だけではなく、裸像に衣服を着せることによって像として完成します。明治の神仏分離によって一時行方不明になっていたものが、関東大震災の修理のときに倉庫の中で見つかりました。もとは、鶴岡八幡宮境内の源氏池に浮かぶ中之島にある旗上弁財天社に安置されていた像ではないかといわれています。

 

東京・東京国立博物館/弁財天坐像(鎌倉時代)

東京台東区の上野恩賜公園(うえのおんしこうえん)内にある東京国立博物館は、1872年に創設された日本最古の博物館。数多くの国宝、重要文化財を収蔵しています。そこに安置されている弁財天は、琵琶を持つのではなく、右手に宝剣を左手に宝珠を持っています。女性らしい丸みを帯びた顔でありながら、持物を捧げながら坐った様子にどこか男性的などっしりとした安定感も。像にはまだ彩色が残っている部分もあるのが確認できます。頭上には、まるで髪型の一部のようにきっちりとトグロを巻いた蛇の胴体が収まっており、その先に繋がった老人の小さな頭部が正面を向いています。宇賀神との習合が像になった弁財天の例です。

 

大阪・本山寺/宇賀神像(江戸時代)

本山寺(ほんざんじ)は大阪府高槻市にある天台宗の仏教寺院です。ここに、ショッキングな姿の秘仏・宇賀神像があります。

蛇の身体に老人の顔を持つのが宇賀神だ、と聞くのと実際に見るのとでは大違い。この像の目の前に立てば、目を疑う人が大多数ではないでしょうか? 蛇を模しトグロを巻いた胴体部分はウロコまで細かく表現され、その胴体に繋がっている老人のリアルな頭部がひょっこり正面に向いているのはかなりシュールな眺めです。通常、弁才天像の頭部に乗っている像ですが、こちらの像は独立した形になっています。

これを見れば、「千と千尋の神隠し」に出てきたオクサレサマというキャラクターが、巨大な白蛇の胴を持った老人の顔だったことが納得できそうです。

日本の仏像を訪ね歩くテレビ番組「TV見仏記」でも話題になった像の一つです。

【書籍紹介】天部の仏像のことをもっと知りたくなった時には…

ここでは今回紹介した天部の仏像以外にもより深く仏像について学ぶことができる書籍・DVDをご紹介いたします。ただどれもわかりやすく書かれている初心者~中級者向けの本ですので、お気軽にお読みいただけるかと思います。

天の仏像のすべて (エイムック)

天部の仏像に特化した書籍というのは、現在普通に販売されているなかでは、ほぼこの1冊くらいしか見当たりません。

如来像のすべて、明王像のすべてなど◯◯のすべてシリーズの天部バージョン。

天の仏像にしぼってカラフルな仏像の写真がたくさん掲載されていて迫力満点!
勉強するだけでなく、写真集のごとく眺めるのもオツな風情。
やはり全巻そろえたいですね。

[関連リンク]◯◯の仏像のすべてシリーズ

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見仏記ガイドブック

ご存知、いとうせいこうさん&みうらじゅんさんの見仏記コンビ。

これまでに出た見仏記を再編集し、ガイドに仕上げた総括的な本です。

見仏記の楽しい内容を閉じ込め、より旅のガイドブックとして使いやすくなりました。
みなさんの見仏のおともにぜひ!

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仏像の見方ハンドブック-仏像の種類と役割、見分け方、時代別の特徴がわかる

天のランクに属する仏像の種類はほんとうにさまざまで最初のころは
仏像に出会ってもなかなかなんの仏像なのか判別がむずかしいところ。

こちらはポケットサイズの仏像本。
私は友人からもらったこの本と上で紹介した見仏記をもって
仏像旅をするようになったのが仏像好きになったきっかけです。

この本をポケットに入れてお堂の中に入っては
「この仏像は忍者のポーズをしてるから大日如来だ!」とか思いながら
仏像の名前を当てたり、見分け方を勉強するようにしていました。

ポケットにしのばせて、これを持っていれば、いつ仏像がやって来ても大丈夫!

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奈良 仏像めぐり (たびカル)

たびかるさんの仏像シリーズの奈良版です。
天の仏像が多い東大寺や興福寺などもバッチリカバーされています!

旅の雑誌らしく仏像を紹介するだけでなく拝観方法や拝観可能時間などもまとめられていて
女性でも親しみやすくポップでかわいい雰囲気。

たびカルさんは京都版も出ているので
この奈良の仏像編とあわせていつでも旅に出かけられるよう備えておくと
重宝すると思います!

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