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No.22 滋賀県長浜向源寺・渡岸寺観音堂の仏像・見どころ/国宝十一面観音立像

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 滋賀県の琵琶湖の北東部(湖北地方)にある長浜市周辺「観音の里」といわれ、古(いにしえ)より観音信仰が盛んな地方です。

これは地形的に、この地方が京都から見て北東の鬼門(丑寅)方向にあたり、都を守護するため鬼門封じを考えて寺や仏様を祀ったためだと考えられています。京都の北東部には比叡山延暦寺がありますが、更にその裏側に当たる琵琶湖の対岸も鬼門封じの守り所として大切にされてきました。

この地には鬼門封じとして仏像がまつられ、特にそのなかでも多くの観音菩薩像が作られ祀られました。そこに住む人々に、これらの観音様を信仰する心が芽生え、育っていきそれが今、「観音の里」として注目を集めています。今回はそのなかでも中心的な存在となる渡岸寺観音堂国宝十一面観音立像をご紹介したいと思います!

向源寺・渡岸寺観音堂のアクセス

 渡岸寺観音堂(どうがんじかんのんどう)のある向源寺は滋賀県長浜市高月町渡岸寺にあります。JR北陸本線の「高月駅」 東口下車、北へ 徒歩約10分ほどです。高月駅には東海道線米原駅から20分程でいけます。車の場合は、北陸自動車道の木之本インターから10分ほどです。

 渡岸寺観音堂は向源寺の門の反対側をさらに少し東へ行ったところにあり、入口に仁王門が建っています。観音堂(収納庫:慈雲閣)は仁王門を入った正面奥にあります。

またすぐ近くに「高月観音の里歴史民族資料館」があります。

ここには、この地方で長い間観音信仰がさかんに行われてきました。そのため小さなお寺や、お堂、また民間の家にも多くの観音像が存在していました。しかし、様々な理由により廃寺となって行き場のなくなった観音像や個人で保管が難しくなった仏像などがここに集められています。

 観音像の説明資料も充実しており、古代から続く観音信仰の里、湖北地方の歴史・民族についても詳しい説明がされています。「観音さま」を通して、この地にもたらされた仏教の思想と美術に親しむ手がかりを得ることができます。

 

観音堂の観音様にお会いになったら是非こちらも訪れてくださいね。入館券が割引になりますよ。

町南部の神社に存されていたヒノキの一木造の4体の男・女神像など興味深いものがあります。また馬頭観音像など地方独特の像がたくさんあります。

向源寺・渡岸寺観音堂の歴史

 

 向源寺(こうげんじ)は寺伝によると、奈良時代の天平8年(736)に都に疫病(疱瘡(ほうそう))が流行り、この厄除け祈願のために聖武天皇の命で山に篭って修行を積んでその徳を慕われていた僧・泰澄(たいちょう)が十一面観音像を彫り、光眼寺を建立してこの像を祀ったのが始まりであると伝えられています。しかし像の特徴からするともう少し後の時代の9世紀頃とも見られています。

寺は790年になり、名僧・最澄(さいちょう)が七堂伽藍を建立し発展しました。しかし戦国時代になりこの地も、戦場となったため、戦火を逃れるために地元民たちは協力してこの十一面観音菩薩像を地中に埋めて難を逃れたという伝承が残ります。

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寺のお堂などの建物はこの時に消失してしまい、その後、この寺は天台宗から浄土真宗に改宗し、寺の名前も光眼寺から向源寺(こうげんじ)と改めて再建されました。

しかし、浄土真宗の本尊は阿弥陀如来であるため、この十一面観音像は向源寺の飛地(とびち)境内の観音堂に祀られたのです。観音堂の名前も向源寺ではなく、この地域の名前の渡岸寺(どうがんじ)をとって渡岸寺観音堂と呼ばれています。なお、この観音堂も1974年に収納庫(慈雲閣:じうんかく)が完成しそちらに祀られています。

長浜で年1回開催される観音の里たかつき・ふるさとまつり

年1回「観音の里たかつき・ふるさとまつり」が開催され(例年8月に実施していましたが、2016年より10月に変更されました。出かける際には確認してお出かけください)。普段開帳されない周辺の湖北の観音様が一斉に拝顔することができます。周遊バスも出ているので、バスを利用するととてもめぐりやすいです。

向源寺・渡岸寺観音堂の仏像の詳細

 

いよいよ観音さまのご紹介!渡岸寺観音堂に祀られている十一面観音菩薩像国宝に指定されています。

国宝となっている十一面観音像は渡岸寺以外に、奈良聖林寺・奈良法華寺・京都六波羅蜜寺・大坂道明寺・京都観音寺、奈良室生寺などがありますが、ここの観音像は日本彫刻史における最高傑作とも称され、日本一美しいともいわれて多くの仏像ファンを魅了しています。仏像についてはあまり詳しくない人でもこの十一面観音の写真は見たことあるよ!って人もいるのではないでしょうか。

(人気コミック「GANTZ」に登場する千手観音もこちらの十一面観音がモデルになっています)

観音堂の中で、この像はガラスケースなどには入れられていませんので間近に拝願することができます。また正面からだけでなく後ろにも回れます。

この十一面観音の特徴はなんといってもその立ち姿の美しさです。気品があってふっくらとしてバランスのとれた体。すぐ虜(とりこ)になってしまいそうな魅力があります。

このふっくらとしたお顔や身体つき、すこし腰をひねった立ち姿、指先の美しさ、少しぽっちゃりした唇などは女性の究極の美を象徴しているかのようです。

 

像の高さは頭頂部を含めて194cmとほぼ等身大に近い大きさです。構造は檜材の一木彫りで作られています。観音様のお顔はキリッと引き締まって慈悲深く、目はうっすら閉じてすべての人をやさしく包んでくれるようです。

 特徴的なのは頭頂部でしょう。一般には十一面観音像の場合、頭の上に十一の観音面を360度ぐるりと見回すように配置していますが、この像は真後ろには歯をむき出して笑っている暴悪大笑面(ぼうあくだいしょうめん)の像が向いているのです。その他は観音像の両耳の後ろに大きな菩薩面が2つと頭頂部の像も正面を向くか少し首をひねって横から前を向こうとしています。

 

なぜこのような笑いの顔があるのか理由は定かではありませんが、鬼門の方向(北東方向)からやってくる邪悪なものをこの暴悪大笑面が防ぎ、その他の観音像は前を向いて人々に救いの手を差し伸べている、なんてことも想像できます。解釈はいろいろありますが、この観音様の前に立ち静かにお祈りしてみてください。きっと心が安らかになってくると思います。

また観光シーズンはこの観音堂の地元の方々による十一面観音の解説をいただくことができて、地元の人々が大切に観音さまをまもる、「観音の里」を感じることができます。

観音ガールへインタビュー
長浜市で「観音ガール」としてこの地の観音さまの素晴らしさを伝えるまめかなさんへインタビューしました!

 

向源寺・渡岸寺観音堂の御朱印

 

向源寺十一面観音にもっとふれる

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向源寺・渡岸寺観音堂の拝観料金、時間、宗派、電話など

正式名称

渡岸寺観音堂(慈雲山向源寺)

宗派

浄土真宗大谷派

住所

〒529-0233 滋賀県長浜市高月町渡岸寺50

電話

0749-85-2632

拝観時間・料金

9:00~16:00

不定休

500円(小学生以下は無料)

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