into you【岡山県井原市法泉寺/薬師如来坐像・阿弥陀如来像】


 訪問した法泉寺は岡山県井原市の北東にある、私の先祖である源平の合戦により領地をあたえられた那須与一との縁が深い荏原の西荏原と言うところの山間にある小さな寺院である。私はこの家が 自分の先祖と縁があるということは全く知らなかったけれど、これもなにかのご縁じゃないかという気もしながら本堂へ進んでいく。

法泉寺は備中伊勢氏の菩提寺として 北条早雲の父親により 1430年に建てられた曹洞宗のお寺。寺院は山門、二門、山門にも石垣が高く城郭の構えしており、 お寺のご住職からも 階段を踏み外さないように気をつけて欲しいと再三の 心配をいただきながら 恐る恐る石段を登って行った 。

 三門から回廊が本堂に達し 山奥の小さな お寺であったが 七堂伽藍が配されている。 本堂に行くまでの参道には小さなお地蔵様の像がずらっと祀られていた 。近所の御老人だろうか、熱心に小さなお地蔵様にお祈りする老婆の姿があった。

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 ご住職の案内により、本堂のさらに奥にある開山堂にあ 木造の薬師如来は像高51cm ヒノキの一木造りで内刳はなく膝の辺りは貼り付けがされている。胸やお腹のくびれや衣のひだなども同じく彫り直されているが、その制作技法や頭部の側面などから平安時代中期の作風だと考えられているそうだ。

 手は前に組んでいる禅定印であるが 寺伝では薬師如来と伝えられている。この薬師如来の存在などからもこの法泉寺はもともとは真言宗の寺院であったと考えられている。全体的にはほっそりとした印象であるが 唇の厚さや 重く開くまぶたなどから 神秘的な オーラを放っていた。

 

 開山堂の反対側には 井原市指定文化財のの阿弥陀如来が鎮座していた。像高は67cm で寄木造の来迎印を結び蓮華座に座っているが、左足は踏み下げている。このように脇仏の様な姿をしている阿弥陀如来像は大変珍しい。

 薬師如来と阿弥陀如来は全く正反対の趣を示していて、まるで仏同士が陰と陽の関係でこの2つの仏像でお寺全体のバランスを保っているかのような雰囲気を示していた。

 

 帰りにご住職の案内で北条早雲と父親の供養塔を訪問した。北条早雲は伊豆修善寺に収められていた摺袈裟を貰い受け、法泉寺に寄進している 。北条早雲の跡地は関東などの東の国ではこぞって秀吉によって抹消されてきたらしいが、貴重な北条早雲の痕跡はこの井原の地でひっそりとこの世を見守っていた。