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石川県林西寺への旅-白山下山仏・十一面観音を訪ねて

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石川県の白山に位置する林西寺には昔、白山の山頂に祀られ時代とともに創られたさまざまな仏像が安置されています。銅でできた地蔵菩薩像や十一面観音像、阿弥陀如来像など、神そのものとあがめられてきた白山の神々と仏教を結びつけた仏像を通じて、白山信仰の中心地である林西寺は日本各地に伝わる白山信仰や白山文化を我々に伝えてくれます。

今回、金沢を拠点にして林西寺に車で訪ね、この林西寺の仏像と対峙して来ることができました。白山の歴史や文化そして信仰を自然たっぷりの美しいこの地で味わって参りました。

色々考えさせられることも多く、多くの方に訪ねていただきたいと思ったのでご紹介していきますね。

おすすめポイント

・林西寺には、白山信仰を代表する昔の人々の祈りが詰まったさまざまな仏像が存在します。

・仏像が今日まで存在するのは神仏分離令の際に地域の人々が一丸となって仏像を守った歴史が存在します。

・林西寺は美しい自然に囲まれていて、人々が自然と一緒に生きてきた姿を感じることができる場所です。

 

林西寺・白山下山仏の仏像群は、その歴史的価値だけでなく、人々の信仰や思い、そして自然との共生の姿を見ることができる場所です。この記事を通じて、その魅力を少しでも感じていただければ幸いです。

林西寺・白山下山仏へのアクセス方法

一般的な林西寺・白山下山仏へのアクセス方法は以下の通りです。

鉄道・バス

金沢駅から、白峰行きバスで白峰バス停前下車。運行本数が少ないため、事前に時刻表を確認しておくことが重要です。

タクシー

金沢駅等からタクシーを利用することもできます。金沢駅からの場合所要時間は約90分ほどですが、料金は距離や時間によって変動するため、事前に確認しておくことをおすすめします。

自家用車を利用する場合、北陸自動車道の白山ICから車で約60分ほどの距離にあります。駐車場も完備されていますが、観光シーズンや休日には混雑することがありますので、余裕をもってお出かけください。

仏像リンク
仏像リンク
私は前日に金沢駅前のホテルに滞在をして、金沢市内から車で約1時間ほどかけて訪問しました。お寺のすぐ近くに駐車場がありそこに停めました。

林西寺・白山下山仏の拝観方法・拝観環境・料金

林西寺の仏像(白山下山仏)は、本堂横の白山下山仏堂で公開されています 。拝観時間は8:30~16時30分/火曜休(祝日の場合は翌日)です。

私は事前に訪問することを電話で伝えたら「いつでもどうぞ」と言われ、近くにお寺の方がいらっしゃったのでその場で声がけして、拝観させていただくことができました。ただお寺の方が不在の場合もあるかもしれないので事前に電話をしたうえで訪問したほうが安心です。拝観料は大人400円です。

林西寺の宗派・開基

泰澄大師像

林西寺は真宗大谷派に属しています。真宗大谷派は、鎌倉時代に親鸞聖人が開いた浄土真宗の宗派の一つであり、阿弥陀如来のお名前を唱えることで生きながらにして極楽浄土への往生が定まるとの教えを広めました 。林西寺は真宗大谷派に属しており、泰澄大師の開基と伝えられる白峰地区最古にして最大の寺院です。

林西寺・白山下山仏の仏像

十一面観音立像(国重要文化財|平安時代)

このお堂の中で最も古く、一番きれいに保存されているのが、この銅で作られた十一面観音像です。美しい銅製の十一面観音像で、11世紀に制作されました。像高は71・6cmあります。平安時代の終わりごろの特色を持つ、優雅な彫刻と美しい衣の模様がある金銅仏です。最初に木彫りの型を作り、その後銅で鋳造されました。鋳造仏でありながら、下を向いた丸顔やすらりと立つ細い姿は、柔らかな平安時代の木彫像を思い出させます。

かつては、本谷の旧道沿いにある慶松室堂という場所に祀られていた白山権現の本地仏として大切にされていました。この像は、高度な鋳造技術で作られ、金の部分もほとんど残っています。小さな10個の頭は、悟りの段階を示しており、一番上に位置する少し大きな頭は、観音の本来の姿である阿弥陀仏を表しています。

白山の一番高い山、御前峰が十一面観音を本地としたのでこんなに素晴らしい像が作られたのでしょう。

地蔵菩薩坐像

千蛇ヶ池の近くに伝わった銅でできた地蔵菩薩像です。昔話によれば、泰澄大師が活躍した時代に、白山には蛇がたくさんいて、お坊さんたちが山登りをして修行するのが難しかったそうです。そこで、泰澄大師が1000匹の蛇を集めて、いつも雪が積もっている山のちょっと下にある池まで運びました。そして、氷を割って蛇を池に入れました。それから、この池は「千蛇ヶ池」と呼ばれるようになったんです。この池は、白山から流れ出る4つの大きな川のうちの1つ、手取川の水が始まる場所でもあります。

阿弥陀如来坐像

阿弥陀如来像は、元々標高2,684メートルの大汝峰山頂に位置していました。この美しい阿弥陀如来像の裏面には、1822年の銘が刻まれています。

泰澄大師と弟子たちは、717年に初めて山頂に辿り着いた際、仏様に祈りを捧げました。すると突如、輝く十一面観音菩薩が、白山の最高峰である2,702メートルの御前峰に現れました。3人は直ちに仏像を作り、この奇跡を讃えて山頂に設置しました。その木像を再現したものですが、風雨によって損傷しています。

十一面観音坐像

1824年に銅で作られた、重さ207キログラム、高さ109センチメートルのこの観音菩薩像は、この高さの山にある像としては世界最大級です。白山での運搬を簡単にするために分割して作られましたが、破壊されないよう地元の人々が撤去する際にも、この特徴が役立ちました。

聖観音坐像

もともと別山山頂にあった聖観音像です。阿弥陀如来像の制作者である藤原富臣が、銅を使って作りました。作られた時期はおおよそ1822年とされています。

 

薬師如来坐像

1712年に作られた木製の薬師如来像です。薬師如来は、病気の治療や医学をつかさどる仏様です。もともとは白山のふもとにある市ノ瀬温泉の湧き水の近くに置かれていました。

 

釈迦如来像

717年に白山に初めて登頂した泰澄大師(682-767)によって作られたとされています。元々は「檜之宿」という古い登山道の入り口に置かれていたものです。現在は、像の上半身部分だけが残っています。

 

林西寺・白山下山仏の歴史と由来

8世紀:泰澄大師と白山信仰

白山信仰は、8世紀に泰澄大師(たいちょうだいし)が白山を開いたことに始まります。泰澄大師は、白山の神々と仏教を結びつけ、白山信仰を広めました。

平安時代:林西寺の創建

平安時代に、泰澄大師が林西寺を創建しました。以降、林西寺は白山信仰の中心地として、多くの信者を集めるようになります。

鎌倉時代:仏像の造立

鎌倉時代には、白山周辺に数々の仏像が造られ安置されました。これは、白山信仰が庶民にも広まっていったことを示しています。

江戸時代:林西寺の復興

江戸時代には、林西寺は一時衰退しますが、その後復興が図られ、再び栄えるようになります。

明治時代:神仏分離令とその影響

明治時代に入ると、神仏分離令が発令されます。この政策により、神社と寺院が明確に区別されるようになり、林西寺もその影響を受けました。しかし、当時の住職可性と山麓十八ヶ村の尽力により林西寺へ仏像が避難し難を逃れ、その後も白山信仰の拠点として機能し続け、地域の信仰を支えてきました。

可性

 

近現代:文化財の指定と観光地化

近現代においては、林西寺が重要文化財に指定され、多くの観光客が訪れるようになりました。また、エコツーリズムのスポットとしても注目されています。

白山信仰とは

白山信仰とは、今の石川県、福井県、岐阜県に広がる白山についての信じられている信仰です。昔から、白山は「命をつくり出す大切な神さま」とされ、水の神や作物を育てる神として信じられてきました。また、白山そのものが神さまだと考えられていました。白山から流れ出る九頭竜川、手取川、長良川の川沿いで特に敬われてきました。

白山信仰が始まったのは、泰澄上人が白山の頂上から見たときに、この山を神さまだと思い、お堂を建てたからだと言われています。 白山信仰では、信じられているものは白山自体や、白山から流れる水、水の神、作物を育てる神などです。白山信仰に関係する神社には、白山比咩神社、長滝白山神社、平泉寺白山神社などがあります。そして、全国にある白山権現社の多くは、菊理媛神(ククリヒメのカミ)を祭る神道の白山神社となっています。

白山信仰における本地仏・十一面観音

白山信仰では、十一面観音が白山権現の本地仏としています。白山権現は、白山の山岳信仰と修験道が一緒になった神仏習合の神さまで、白山妙理権現、大行事権現、大汝権現と一緒に白山三所権現と呼ばれています。

白山神の像では、神は仏の一時的な姿で、十一面観音の姿で表されています。また、白山信仰では、白山に登ることが信仰の中心で、白山比咩神社をはじめとするたくさんの神社があります。

まとめ

林西寺は白山下山仏を祀る寺院として知られています。その中でも地蔵菩薩像や十一面観音像など、古代から地域の人に信仰されてきた美しい仏像が数多く保存されています。また、717年に泰澄大師が登頂した際の奇跡から生まれた、白山の霊験を証明する貴重な文化財も紹介されています。

林西寺と白山下山仏の歴史は、白山信仰の歴史そのものとも言えます。泰澄大師による白山開山から、林西寺の創建、仏像の造立、そして神仏分離令からの復興まで、白山信仰の流れをそのまま体験することができます。

旅を終えて

林西寺・白山下山仏は2度目の訪問となりました。実は近くで化石発掘体験場所があり、ちょうど近くに林西寺があることを見つけ、子供がそこで化石発掘体験の合間で再訪が叶いました(笑)

仏像としては、国の重要文化財である十一面観音立像が有名ですが、個人的には今回は十一面観音“立像”よりも十一面観音“坐像”の方が心に残りました。

全体的に分厚く重く重厚感を感じることができる十一面観音坐像は、白山という自然の厳しい環境ではこれだけの重量感がなければ損傷してしまうだろうと思われ、自然の厳しさを仏像の造形から感じ取ることができました。

泰澄大師が初登頂した717年から今日まで続く白山信仰の歴史は、人々が自然と共存し、精神的な価値を見出してきた証であり、その偉大さに深い感銘を受けました。

明治時代の神仏分離令からの復興は、白山の信仰を守り、後世にしっかり引き継ぐための決意と努力があったことを物語っており、その精神性には敬意を表します。

林西寺の拝観料金、時間、宗派、電話など

正式名称

無量光山林西寺

宗派

浄土真宗大谷派

住所

〒920-2501 石川県白山市白峰イ68

電話

076-259-2041

拝観時間

8時30分~16時30分(火曜日休館)

拝観料金

大人400円 中学生以下200円

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