天とは

仏像界の4つステージの最後は、各授業の先生となる「天(てん)」です!
学校の授業には国語の先生、体育の先生、美術の先生、音楽の先生など、各専門分野の得意な先生がたくさんいますね。それと同じく、天部の仏像は大きく戦士の仏像、天女の仏像、貴公子の仏像、鬼の仏像の4つに分類されるなかで、たくさんの種類があり、共通の特徴がなく、バラエティーゆたかな姿が見られるのが特徴です。
名前も様々で、薬師“如来”、十一面観音“菩薩”、不動“明王”とホトケさまは基本的にランクの名前がつくのですが、天部の仏像は「〇〇天」と言うふうに天がつくものばかりではないので、ちょっとわかりにくいかもしれません。
天部のはたらきは、メインは如来や菩薩などのランクの上のホトケさまのケライとして敵とたたかう、いわゆるガードマンの役目をする仏像が多いです。
如来が「どう敵とたたかうか、どうやって人々を助けようか」と指示するオーケストラの指揮者のような役目ならば、天部のホトケさまは如来の指示にしたがって演奏していく演奏者たちといったイメージです。
このようにランクの上の仏像と一緒になって行動をともにするホトケさまのことを専門用語で「眷属(けんぞく)」といいます。※仏像をめぐっていくうえでは、よく出てくる単語なので覚えておきましょう。
ただ、如来や菩薩や明王の中では一番下のランクに位置しているホトケさまだけど、人間と比べるととってもとっても強くてエラい存在なので見くびってはいけません!
天部の成り立ち
もともと仏教ができるもっともっと前にあった、インドのヒンドゥー教の神々がブッダの力で改心して、人々の守り神になったとされます。ブッダの教えは他の宗教の神々も取り入れてしまった凄い教えであった、ということを物語ります。
ホトケさまのファッションチェック!(天部編)
*戦士の仏像
四天王(してんのう)や十二神将像(じゅうにしんしょう)は戦士の仏像は、衣の上に甲冑(かっちゅう)と呼ばれる鎧(よろい)を身に付けていて、戦いに出る戦士の格好をしています。仁王(におう)と呼ばれる金剛力士(こんごうりきし)は上半身はだかで筋肉ムキムキな体つきをしていて、やはり戦いを連想させます。また靴を履いている仏像がいるのも天部の仏像の特徴です。

*天女の仏像
吉祥天、弁財天、鬼子母神などは袖の長い天衣(てんね)と言う衣を着て、きらびやかなアクセサリーをつけた中国唐時代の貴婦人の姿をしています。
*貴公子の仏像
梵天(ぼんてん)や帝釈天(たいしゃくてん)などは礼服姿で人間に近しい姿をしています。
かっこいいポージング
戦士の仏像は仏教のガードマンとして敵を払う役目を担うことから、相手をイカクするポーズや、怒りの表情を見せる仏像ものも少なくありません。
決めポーズがある主に戦士グループの仏像は、それぞれに決めのポーズが決まっている場合があります。例えばお寺の門の両サイドにいる仁王などは歌舞伎のミエを切るような格好しているし、東西南北をまもる四天王のうち、毘沙門天は遠くを見るように片手をかざす形で作られるものがあります。
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また持ち物もさまざまで剣や弓矢などの武器を持つ仏像もいるかとおもえば、筆をもつ仏像や、お釈迦さまのホネが入っている塔を持って守っていたり、果物のザクロを持ったり、バラエティ豊かな天部の仏像は、持っている持ち物もさまざま。
天部の仏像はユニットを組む
同じ天部のなかまとあつまって如来や菩薩のケライとして、4人組、8人組、12人組、28人組など、集団でさまざまなユニットを組むことも多いのが天部の特徴です。中心となるホトケさまによって、何人編制を組まなければいけないかが、だいたい決まっています。また双子のようにほぼ同じ姿で分身してユニットを組んだりすることもあります。
釈迦如来⇒ 4人組(四天王) or 8人組(八部衆)
薬師如来⇒ 12人組(十二神将)
千手観音⇒ 28人組(二十八部衆)

女性のホトケさまがいるのは天部だけ
明らかに女性のホトケさまがいるのは天部だけです。そこそこ有名なホトケさまとしては吉祥天(きっしょうてん) 弁財天(べんざいてん) 鬼子母神(きしもじん)などが女性のホトケさまの代表的な例です。男の天部のホトケさまがガードマンであるなら、女性のホトケさまは安らぎを与えたり、子供を守ったり、いかにも女性的な役割を担当しています。

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