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【開催レポート】仏像初心者見仏オフ会|ブラ参り“品川区”

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2022年7月のブラ参りは「品川」でした

品川は平安時代より都と国府を結ぶ交通の要地となりました。そして、室町時代に入ると武士や商人が寄進した寺院が軒を連ね、武蔵国の表玄関として栄えました。そんな品川には今でも多くの神社仏閣があり、その歴史を感じることができます。

実は品川区のお寺をめぐるのは、ブラ参りとしては2回目になります。前回も参拝した養玉院如来寺のほか、普段なかなかお目にかかれない仏さまにもお会いすることができました!

 

朝9時半

JR西大井駅に集合し、ブラ参りスタート!

 

今年の夏も7月から容赦なく暑いですが、この日は少しだけカラッとしていて比較的過ごしやすい日でした。

 

最初に参拝したのは「まさか都内にこんなにもダイナミックな密教ワールドが存在していたなんて…!」と、きっと誰もが心の中でこう叫ぶであろう“養玉院如来寺” です。

 

養玉院如来寺は、かつて上野にあった養玉院がこの地に移転して、高輪にあった如来寺と合併する形で養玉院如来寺となりました。

 

如来堂にいらっしゃる五智如来さまは、1635年に、木喰但唱が弟子たちと共に信州で五智如来像を造り、高輪の如来寺を建ててお祀りしたのがはじまりといわれています。薬師如来さま以外の4体は火災で焼失してしまい、後に再興されたものです。

 

中央にいらっしゃるのは胎蔵界の大日如来さま、そして、向って左から
北方世界の釈迦如来さま、西方世界の阿弥陀如来さま、大日如来の右隣が南方世界の宝生如来さま、 そのお隣が東方世界の薬師如来さまです。

 

いやぁ…何度お参りしても、3mを超える如来像が横並びに鎮座する光景は圧巻です!

 

五智如来坐像

品川区指定文化財

像高約3m(大日如来坐像3.21m)

江戸時代(1635年)

 

次に参拝したのは、薬師寺東京別院です。

奈良の超有名寺院であり、1300年の歴史を持つ “薬師寺” が、都内にもあるんですね〜!

薬師寺東京別院は、五反田駅から徒歩7分という立地。繁華街をちょっと外れた閑静な高級住宅街にあります。

 

近代的でとてもお寺とは思えない佇まいですが、元は御家流香道・故山本霞月氏の旧宅だったそうです。法話会や写経をはじめ、仏像彫刻や花道、茶道、香道、書道のような日本の伝統文化を学ぶことができる都会のオアシスですね。

 

中へ入ると、薬師寺の管主であられた好胤和上像と奈良の薬師三尊像がお出迎えしてくださいます。

 


 

本堂がある2階に上がり恐る恐る中へ入ると、写経をしている方が大勢いらっしゃいました。

 

須弥壇の中央にいらっしゃるのは、ご本尊の薬師如来さまです。奈良の本山から東京にいらっしゃいました。鎌倉時代の作で、像高87cmのほぼ等身大のお像です。

 

写経のお邪魔にならない様に忍び足で薬師如来さまの前で合掌。

 

元は彩色が施されていたそうですが、現在は木目が美しいお姿をされています。玉眼ではなく彫眼で表現されており、お顔の表情がとても穏やかです。まるで笑みを浮かべているように見えました。

 

出典:薬師寺東京別院ホームページより

薬師如来坐像

像高87cm

鎌倉時代

彫眼

 

お堂を出ると、関西弁のお坊さんが薬師寺の歴史や薬師如来さまについて解説してくださいました。お話を聞いていると、まるで奈良に来たような気分になりました(笑)

【見仏入門】No.21 奈良西ノ京・薬師寺の仏像・見どころ/薬師三尊像・聖観音像・東塔に仏足石や写経など 今回は奈良の西部「西ノ京」に佇む有名な薬師寺(やくしじ)を紹介します。 西ノ京は奈良の都(平城京)朱雀大路(すざくおおじ)の西にある...

 

午後の部は、品川駅に集合しすぐに海蔵寺へ向かいました。

 

海蔵寺に到着すると、何度かお電話でやり取りをさせていただいた優しい奥さまがお堂を開けて待っていてくださいました。

 

午後から参加の方々も加わって、午後の部がスタート!

 

海蔵寺は、時宗のお寺です。江戸時代には数多くの無縁仏を供養していた事から “投込寺” と呼ばれていたそうです。

 

 

こちらはお参りすると頭痛が治るという “頭痛塚
で、身寄りのない人々の遺骨を集め宝永5年(1704年)に築かれました。鈴ヶ森処刑場で処刑された罪人や引き取り手のない遊女などが埋葬され、天保の大飢饉で亡くなった人を祀る二百十五人塚なども合葬されました。

 

私は日頃から頭痛が酷いので、この頭痛塚にお参りをしましたが、それよりもここに祀られている人々のことを思うと身がすくむ思いです…

 

本堂へ上がり、先ずはご本尊の阿弥陀如来さまと脇侍の観音菩薩さまと勢至菩薩さまをお参りしました。両菩薩さまのしなやかな前傾姿勢が美しくて、しばらく見惚れてしまいました。

 

 

ご本尊さまの後方の御位牌と共にお祀りされているのが、品川区の文化財に指定されている菩薩形坐像さまです。

 

カヤの一木造りで、11世紀前半まで遡ると見られる古い仏さまです。

 

木造菩薩形坐像

品川区指定文化財

像高66.3cm

カヤ一木造

内刳なし

 

ヘアスタイルは髻を結う菩薩スタイルでありながら、ファッションはまるで如来のような着こなしをされているという、菩薩なのか如来なのかはっきりと断言できないお像のようです。

お寺の入口にある解説板には「平安初期に中国からもたらされながらも、我が国では定着しなかった初期の密教像である可能性が高い」とありました。

だとしたら、この美しい初期の密教像がどこで造られ、どのような経緯で品川の海蔵寺にやって来たのでしょうか?謎に包まれたミステリアスなお像に胸がときめきます!

 

最後に参拝したのは…ごめんなさい、お寺の名前はお寺さんの都合により秘密です。

 

お話の面白いご住職が、とってもオシャレな本堂にご案内してくださいました。

お寺の歴史から本堂の内装ことまでいろいろなお話を聞くことができました。

 

阿弥陀如来立像

品川区指定文化財

像高97、4cm

典型的な鎌倉様式を示す

 

煌びやかなお厨子の中にいらっしゃるのは、端正なお姿の阿弥陀如来さまです。鎌倉時代に京都で造られたと考えられています。京都から2体奉納したうちの1体とされ、もう1体は浅草本願寺にお祀りされています。

 

 

最後に、お寺オリジナル最中をかけてのジャンケン大会〜!

 

締めがジャンケン大会になるお寺さんは、後にも先にここだけかも知れません(笑)ご住職の温かいお人柄で、とても楽しい時間となりました。

 

今回のブラ参りも、初参加の方が多かったり旧メンバーと久しぶりに再会できたりと、新旧入り交じり和気あいあいとした1日となりました。お寺の方も参加者の方もみんな優しくて、ブラ参りに参加するたびに心が癒されます。いつもありがとうございます!また次回もお楽しみに〜!