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【3分でわかる國華展/名作誕生】上野東京国立博物館 特別展覧会「創刊記念『國華』130周年「名作誕生-つながる日本美術」」2018年4月~5月

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この春、東京国立博物館でわずか45日間で開催予定の特別展「創刊記念『國華』130周年「名作誕生-つながる日本美術」」についてご紹介させていただきます!3分でわかるように内容を凝縮してご紹介しております!日本各地の貴重な仏像が集まる機会でございますので、この機会をお見逃しなく是非上野に足を運んでいただければと思っております!

<追加情報>

仕事の合間で國華展・名作誕生& 新指定 国宝・重要文化財行ってきました!一木好きの自分にとっては最高の展覧会だった。最初の部屋に入った瞬間からものすごい身震い!展覧会や仏像の感想などを文章に追加記載いたしました!

 

國華とは

まず今回の展覧会の題目となっている「國華」についてですが、そもそもなんだろう?と思われる方も多いと思います。國華とは1889年(明治22年)にあの岡倉天心、高橋健三の2人が中心になって創刊した日本・東洋古美術研究誌です。

岡倉天心

現在は朝日新聞出版から創刊され、今年で創刊130年という、とんでもなくロングセラーの書籍です。

 

いろいろな昔から出ている雑誌や書籍と比べてみると

國華→1889年(創刊130年)

芸術新潮→1950年(創刊68年)

少年ジャンプ→1968年(創刊50年)

non-no→1971年(創刊47年)

POPEYE→1976年(創刊42年)

 

有名な雑誌をこう並べてみると圧倒的さが際立ちますね!

世界的に見ても、現在発行を続けている美術雑誌の中では最も古い雑誌になるそうです。

ただ採算度外視のクオリティを求めた結果、超赤字経営になってしまったり、関東大震災や太平洋戦争により所蔵されていた原盤をすべて失ってしまったりと、創刊継続することが困難になってしまったことが多々あったそうですが、その度にさまざまな人の援助を受けたり、なんとか継続させようという情熱から再起を果たし、現在では最も古い月刊誌となりました。

 

國華展の概要・見どころ

 

今回の概要を確認しましてたくさん見所は多いのですが仏教美術のみを、かいつまんでご紹介させていただきますと、展覧会のホームページにはこんな紹介が掲載されております。

第1章 祈りをつなぐ

仏像や仏画などの信仰を背景とする美術は、経典などに記されたことに基づいて造形化される一方で、特別なゆかりや革新的技法、形をもつ名作を規範として継承し、数々の名作が誕生してきました。第1章では、古代から中世へ、人々の祈りがつないだ仏像、仏画、説話画の数々を展示し、その規範と名作たる革新性に注目します。

1. 一木の祈り

天平勝宝5年(753)、中国・唐の高僧、鑑真[がんじん]とともに渡来した仏師たちは、日本の木材に着目し、一本の木から重量感あふれる仏像を彫り出しました。同時代の中国においても最新の表現だったこの木彫像につらなる仏像は、平安時代前期を通じて数多く造られ、大きな影響を残したのです。

2. 祈る普賢

『法華経』に基づいて表される白象に乗った普賢菩薩像は、9世紀半ばに慈覚大師 円仁[じかくだいし
えんにん]が唐から請来した図像(現存せず)によって、新たに合掌する姿で表す潮流ができました。ここではこの「合掌普賢[がっしょうふげん]」につながる仏画とともに、信心深い女性の姿を反映した十羅刹女[じゅうらせつにょ]の名作もご堪能ください。

国宝 普賢菩薩騎象像 平安時代・12世紀 東京・大倉集古館蔵

国宝 普賢菩薩騎象像[ふげんぼさつきぞうぞう]

平安時代・12世紀 東京・大倉集古館蔵

(展示期間:通期展示)

普賢菩薩像は法華三昧[ほっけざんまい]を修する法華堂本尊や追善供養の本尊として、平安時代に盛んに製作されたことが記録からわかっています。本像はその優美さもさることながら、彩色や截金[きりかね]があざやかに残る木彫像の名作です。

国宝 普賢菩薩像 平安時代・12世紀 東京国立博物館蔵

国宝 普賢菩薩像[ふげんぼさつぞう]

平安時代・12世紀 東京国立博物館蔵

(展示期間:4月13日(金)~5月6日(日))

明るくあざやかな彩色と精緻な截金[きりかね]が残る、平安仏画の代表作です。白く輝く肉身には淡い朱色の隈[くま]が施され、細部まで心と技が尽くされています。頭上には花の天蓋[てんがい]があり、大輪の花々が美しく降る様子が画中に静かな動きを与えています。

3. 祖師に祈る

日本に仏教を広めた祖師[そし]たちの生涯は、平安時代以降、障子絵や掛幅などの大画面に盛んに描き継がれ、法要などの場を飾りました。ここでは現存最古の祖師絵伝である「聖徳太子絵伝」(東京国立博物館蔵)ほか大画面説話画の名品を通して、絵伝と絵堂がつなぐ祖師への祈りをご覧いただきます。

※ホームページより引用

國華展の開催日程(開催期間)・開館時間

展覧会の開催日程は下記の通りです

2018年4月13日(金) ~ 2018年5月27日(日)

 

45日間という短い開催期間になりますので、終わってバタバタしてしまう前に是非早いうちから訪問されることをお勧めいたします!

開館時間

火曜〜木曜午前9時30分~午後5時

金曜土曜は午前9時30分~午後9時

日曜、祝日は午前9時30分~午後6時まで

※入館は閉館の30分前まで

休館日:月曜日 ※ただし4月30日(月・休)は開館

とのことです。博物館に確認をしたところ、土曜・日曜の祝日が混み合う事はもちろんですが、夜間拝観を狙う人が金曜日の夜に訪問する人も多いようで、夜間拝観を狙うのであれば土曜日の夜の方が比較的空いているそうです。

國華展はどこでやってるの?!開催場所は?

開催場所は東京国立博物館 平成館(上野公園)にて開催されます。東京国立博物館の正面に見えるのが本館でその左奥にあるのが平成館です。

平成館は本館の西側から通路でつながっているので、もし雨が降ったときなどには本館から通路通っていくと雨に濡れないで済みます。

また本館1階、11室(本館正面の入り口を入ってすぐ右側の部屋)に常設の仏像の展示もありますので、こちらにもぜひお立ち寄りください。ほかにも忘れられがちですが、本館・平成館以外にも法隆寺館や東洋館にも数々の貴重な仏像が展示されているので、お時間に余裕がある方はぜひそちらもお立ち寄りいただくことをお勧めいたします。

展示替えはある?!

仏像に関しては全期間で同じ仏像が拝観できるので安心ですね。

 

國華展の拝観料(入館料)

国華展の入館料

一般1600円(1400円/1300円)

大学生1200円(1000円/900円)

高校生900円(700円/600円)中学生以下無料

*( )内は前売り/20名以上の団体料金

 

前売りチケットを購入することによって1,400円に安くなります。またトーハクのメンバーズパスを持っていると例え個人でも団体料金で入ることができますので、このタイミングでメンバーズパスに入会されてみてはいかがでしょうか?こちらの記事にメンバーズパスの詳細をご紹介しています。

 

 

國華展の前売り券・前売りチケットはどこで買える?

こちらで購入できます

前売券は、東京国立博物館正門チケット売場(窓口、開館日のみ、閉館の30分前まで)、展覧会公式サイト、各種プレイガイドで、2018年2月1日(木)~2018年4月12日(木)まで販売。

國華展に巡回はある?

巡回はありませんので、興味ある方は期間内にぜひ上野へ足を運んでみましょう。

 

國華展の混雑予想、混雑状況について

國華展の混雑予想ですが開催時期が行楽シーズンということもあって賑わうことも予想されます。混雑予想は東京国立博物館のホームページや國華展のツイッターで公開される場合がございますので、そちらの方もぜひご確認ください。

また混雑を避けたいという方には平日昼間の訪問のほかにも土曜日の夜間拝観や日曜日の夕方頃の来館は比較的すいておりますので時間の調整をかけて是非ご検討ください。

國華展に展示される主な作品(仏像を中心にご紹介します)

 

展示品リストが発表されました。

それでは今回の國華展で展示が予定されている、主な仏像をご紹介させていただきます。

今回ご紹介する仏像は18年3月31日時点で展示が公表されている仏像をもとにしています。

 

奈良・唐招提寺/伝・薬師如来立像(奈良時代8世紀後半)<国重要文化財>

 

まず奈良県唐招提寺に安置されている2体の仏像についてご紹介いたします。

唐招提寺は鑑真が開創した律宗の寺院です。鑑真は唐の偉い僧侶で、日本の聖武天皇の招待に応じて日本へ戒律を伝えるため5度の渡航に失敗して、その末についには失明してしまうという不運に見舞われながらも、6度目にようやく日本に上陸を果たします。

この鑑真によって作られた唐招提寺より、まずは薬師如来についてご紹介いたします。

像高160センチ、カヤの一木造でほぼ全身を彫り出した本格的な一木造りの仏像です。量感が溢れているその作風と技法はそれまでの天平彫刻には見られなかったもので、中国からやってきた鑑真と共に渡来した仏師の手によって作られたものか、あるいはその指導のもとに制作された薬師如来と考えられています。残念ながら腕がなくなっているため本来の仏像の尊名はわかっておらず、それゆえ“伝”薬師如来となっています。

 

見てきた感想
衆宝王菩薩と共に本展覧会の始まりを告げる本像。近くでじっと眺めていると今まで寺院で観て来た印象とは違うものが感じられた。この薬師如来は個のメッセージではなく概念、存在がそこにあるのに、そこに無いような…そんな不思議な感覚に持っていかれた。

 

奈良・唐招提寺/伝・衆宝王菩薩立像(奈良時代8世紀後半)<国重要文化財>

 

獅子吼菩薩立像と同じく額に目がある三つの目を持った珍しい仏像で上半身に鹿の皮をまとっていて、元々は6本の腕を持つ、六臂(ろっぴ)の不空羂索観音であったことが知られています。獅子吼菩薩とともに唐招提寺のなかの羂索堂に安置されていた仏像と見られていて唐招提寺ができた当初にさかのぼる貴重な作例となっています 。像高は173cm、奈良時代8世紀後半に作られた仏像です 。

大阪・道明寺/十一面観音立像(奈良時代8世紀)<国重要文化財>

今回の展覧会の前の期間で開催されていた仁和寺展にきていた大阪道明寺・十一面観音(国宝)、その道明寺国宝十一面観音の「試みの作」と伝えられている十一面観音です。

大阪道明寺の十一面観音は毎月18日に公開されて我々一般人も拝観することができる仏像ですがなんといってもこの試みの観音は、本尊の十一面観音は展覧会や修復などで外部に出展されている時のみに公開されるという、ある意味本尊の秘仏以上にレアな秘仏と言えます。像高は約50cm、頭から台座の蓮台までほぼ全てを木心を外したヒノキの一木造りから製作されていて、内刳りは施されておりません。色はやや褐色を表しており、檀像としてつくられたのではないかと考えられています。

 

見てきた感想
国宝十一面観音の「試みの観音」とされ本尊出展中のみお寺で公開となる超レアな像。まずまるで獣のような切れ長の眼に目を奪われた。それはスナイパーのよう何かを狙う目。頭上には菩薩面がひしめき合い、腰の裙が学校にある体育館のカーテンのソレに見えてしまった。

 

山口・神福寺/十一面観世音立像[平安時代]

関連画像

神福寺は山口県の大きなバイパスの近くに建つ真言宗御室派の寺院です。
過去一度訪問させていただいたことがあったのですが本堂の奥に祀られる秘仏の十一面観音は壇像風で腕や瓔珞も含めすべて一木造でつくられています。

像高は45cmほどのとても小さな像ですが身体の衣紋がとっても繊細に彫られていて中国で作られて日本に持ち込まれたのではないかと考えられています。

顔が傷んでしまっていて、十一面観音の本来の表情がなかなか伺いにくい状態になってしまっているのですがお寺の方から伺った話によると昔、子供の遊び道具(人形)になってしまったことで破損してしまったそうです。

お寺でも秘仏としてなかなか公開していない仏さまになるので
國華展への展示はとても貴重な機会になると思います。

見てきた感想
像高45cmの小さな像。かつてお寺の厨子で暗がりの中、目をこらして拝見した状況と違って展覧会では細部までよく見える。唐で作られた本像は細部までよくみるべき像で、職人芸ともいうべき身につける瓔珞やアクセサリーはまるで迷路のように細かく表現される。

 

京都・春光寺/薬師如来立像

春光寺というこの展覧会の開催期間にふさわしすぎる寺名をもつ真言宗智山派の寺院。そちらの本尊として祀られているのがこの薬師如来像です。

像高は、146㎝で国重要文化財に指定されています。
私も約8年ほど前に訪問したことがあったのですがまず最初の印象としては元興寺の薬師如来に近い!という印象を持っています。
奈良ぶつぞう館にいらっしゃる元興寺の薬師如来同様にとても美しい衣紋をもっていて
おもわずうっとりしてしまいました。

かなり辺鄙な場所にあるお寺さんであるため、普段はなかなか訪問することができません。
今回またお会いできるということでとても楽しみにしたいと思っています!

見てきた感想
他の一木像と異なっておだやかな雰囲気を放っていた。身体の衣紋の中でも腕にかけてのドレープが美しく平安一木の雰囲気は感じるけど、平安後期〜鎌倉時代へと流れていくその過程を感じるかのようでした。本像を眺めていると「ニュートラル」という言葉が浮かんで来た。

 

今回ご紹介しましたこれ以外の仏像としては

奈良・笠区 薬師如来立像

見てきた感想
像高3m超えの巨大な薬師如来。衣紋は鋭く深く刻まれる。カヤの大木がそのまま仏になったかのような存在に圧倒される。衣は鋭いけど顔は何か思惑してるかのように目線は漂っていて掴みにくい。また背面は正面と真逆のシンプルな処理で、表裏の表現が異なって面白い。

 

兵庫・成相寺 薬師如来立像

見てきた感想
かつて淡路島でお会いした薬師如来。収蔵庫の限られた空間とは異なり開放的な空間でみる本像は趣きが異なることがわかる。まず他の一木像と比較すると重心がかなり下である事が分かる。それはY字衣紋の要因が大きいか。螺髪は大ぶりで顔の表現は呪術的ながら若々しい。

 

など平安時代前期の仏像目白押し!ぜひこの機会に訪問してみてくださいね。

※こちらに掲載されている画像は國華展のホームページから引用させて頂いております